参宮線他 2002.02.09

唐突にどこかへ行きたくなる。最近多い。原因不明。幸いにも妻の了解が得られた上にちょっとした臨時収入があったので、連休初日に日帰りで伊勢へ出かける。

02/09(Sa)
今日は4時半起きの5時出発と、早起きして出かける。昨日は遅番勤務で寝たのは1時過ぎだが、割にすっきり目が覚めた。妻を含め、家族はまだみんな夢の中だ。
西馬込から浅草線に乗り、新橋でJRに乗り換える。名古屋までのきっぷと新幹線の特急券を買おうと窓口へ行ってみたが、まだ営業時間前で開いていない。なぜか新橋の窓口には裏切られた思いが強い。よく利用する証左か。
一番安い130円のきっぷを買って東京駅へ向かう。さすがにまだ真っ暗だ。東京駅のJR「東日本」の窓口できっぷを買う。さっきの130円分を区間変更するので無駄はない。なぜ「東日本」か? 東海の窓口では一般的なクレジットカードが全く使えないのだ。
朝イチの6:00発のぞみ1号は、青くて管のような車体の500系。これに乗るのは今回が2度目、前は岡山から東京まで利用した。弁当を買って、風景が暗いうちに平らげる。明るい時間帯に新幹線に乗る機会はあまりないので、景色が見たい。富士山と浜名湖は外せない。
小田原を過ぎる頃にはすっかり明るくなり、三島を通過、富士山が見えた! 朝日を浴びてやや赤っぽく見える。
さすがに実睡眠時間が4時間未満では眠く、車内販売のコーヒーではすっきりしない。いつの間にか眠ってしまい、気がつくと豊橋通過中。・・・浜名湖見損ねた。

名古屋で下車、改札を出てみどりの窓口へ向かう。今日利用する「青空ワイドフリーパス」は、名古屋近郊が1日乗り放題で3,570円のきっぷだ。残念ながら東京では買えず、現地調達となる。
窓口を見て絶句。客が列をなしている。10分後に出る列車を利用するのだが、これでは間に合いそうにない。他の窓口がないか探したが見つからず、改札の係員に「着駅でフリーパス購入」を直談判。この係員、商品知識が乏しく、「青空ワイド〜」が今日発売してるかどうか分からないと言っている。間違いなく発売日なのをWebで確認した上でこっちは来てるのだが。時間がないので、「もし発売してなかったら普通に払う」との条件でやっと着駅精算の証明書をもらい、ダッシュで関西線ホームを目指す。
土曜休日運転の快速みえ51号に乗る。指定を取ってあるが、私の席はボックス型の座席で、向かい側に先客がいる。となりのボックスは空いているのでそこに座る。車内検札で着駅精算の話をして、今日は発売日であることを確認しておく。絶対売ってると確信はあったが、駅員にわからないと言われるとさすがに自信がなくなる。
みえは関西線を快走、木曽三川を渡り近鉄特急と競いながら走る。晴れていて気持ちがいい。
伊勢鉄道線を通り津で下車、改札に事情を話して無事青空ワイドフリーパスを手にする。県庁所在地とは思えない閑散とした駅前をぶらっと一回りし、後続の普通列車に乗る。
次の阿漕で7分停車、降りてみる。古い大きな駅舎が残る。次の高茶屋、ここでも3分少々停車する。ここも古い駅舎で、嬉しくなる。それにしても、単線で追い抜き・交換を行うと、普通列車はこうも長時間停車が多くなるものか。この先この列車は、松阪でもしばらく停車した。
松阪の次の徳和で下車。駅舎はすでに取り壊されて姿がないが、ホームが長く大きな駅だったことが伺える。30分ほど時間があるので近くの喫茶店でコーヒーを飲む。このあたりまで来ると、名古屋特有の過剰サービスはないようだ。
後続の普通列車に乗る。このあたりはかつては伊勢参詣のための重要路線で、戦前は複線だった。その名残の線路敷きがずっと併走する。なんだかわびしい。
多気で9分停車。13年前に初めて降りたときと雰囲気が変わっていない。列車はここから参宮線に入り、3つ目の宮川で下車。木造駅舎が健在。琺瑯引きの駅名看板が懐かしい。最近は見かけなくなってきた。
戻って田丸でも下車する。ほとんど手が入っていない原型の残る駅舎がある。入り口や基礎部に、写真で見るような明治大正期の雰囲気がある。
30分ほど時間があるので周辺をぶらっと一回りする。近くに大きなお寺がある。道が分かりづらく、危うく戻れなくなるところだった。
進んで山田上口下車。洋館風の駅舎の正面に、街路樹付きの道がまっすぐ延びている。かつてはさぞかし賑わったのだろう。

宇治山田駅伊勢の町中を歩く。伊勢市駅近くのうどん屋「山口屋」さんできつね伊勢うどんを食べる。旨い。つゆが濃い。揚げをつゆでジャブジャブにして食べる。
伊勢市で列車を待つ間に、近鉄宇治山田駅が立派な駅舎だったことを思い出した。せっかく来たのだから、そちらも行っておきたい。地図で場所を確認、歩き始めるが、ものの10分経たないうちに到着。外国の駅かと見まがうような大きな駅舎で、新幹線の駅のようだ。コンコースも広く、この駅を利用する人がうらやましくさえ思える。
近鉄の普通列車で一駅、伊勢市へ戻る。3個入りの赤福とお茶を買い、名古屋行きの快速みえ車内で頬張る。お茶とよく合い、旨い。

居眠りしながら四日市。1分接続の伊勢鉄道列車へ乗り換えるが、なにしろ伊勢鉄道の車両はホームの端の端に停車しており、優に100Mはダッシュ。私が乗り込むのを待って列車は発車した。
隣の南四日市で下車。スイッチャー(専用線の入替用機関車)にDD51(国鉄型ディーゼル機関車)にタム(ごく小型のタンク貨車)に、その他諸々。昔見た大きな駅の風景がここにはある。貨客混在駅に久しぶりに降りた気がする。
ここでふと気づいた。今朝から伊勢鉄道を往復したわけだが、その往復ともに伊勢鉄道分の運賃を払っていない。私としたことが・・・。
かつてこの関西本線を初めて通ったときは、165系電車が走っていた。その後213系電車に替わったが、今は新鋭、313系が席巻しつつある。213系はまだ経年が浅いが、どこへ行ったのだろう?
河原田にも下車。痛んだ木造駅が建つ。関西線ホームの裏手に築堤があり、ここを伊勢鉄道の列車は走る。「関西線」の四日市方面ホームで列車を待っていたら、その築堤上に四日市方面行きの列車がやってきた。ホームを間違えた! 階段を駆け上がってギリギリセーフ!
四日市では乗り換えに10分ほど間があり、駅前に出てみる。近鉄四日市はとても賑やかだったと記憶しているが、ここJR四日市は駅前の人通りもまばら、大きく水をあけられている感じだ。
富田下車。鯨取り船を模したというとがった屋根が面白い。ここは三岐鉄道の接続駅で、かつては四日市まで乗り入れる旅客列車があったそうだが、今は近鉄富田発着に統一され、朽ち果てるだけの跨線橋とホームが忘れ形見だ。貨物の乗り入れはまだ盛んなようで、電気機関車が忙しそうに動いている。
戻って富田浜。浜とはいうものの、海岸線は遠く退き、あたりは人家の建て込んだ普通の町となっている。ここで降りようとしたら電車がゆっくり動き出した! 運転士がブレーキ閉め忘れた?らしく、あわてて停めていた。こんなこともあるんだ。知らなかった。
それにしてもディーゼル機関車牽引の貨物列車が多い。楽しいしうらやましい。それだけの輸送量があるということだから、四日市コンビナート、恐るべし。
駄菓子屋永和下車。大改装されて新築と見まがうほどの駅舎がある。近くにものすごくアンティークな駄菓子屋があり、意図的?とすら思える雰囲気。戻って弥富。ここも改装されて新しい駅舎のようだ。
八田、蟹江と下車。蟹江から春田まで歩こうと、駅を出発したはいいがすぐに道に迷った。疲れていてすぐにはたどり着けそうにないので、大通りでタクシーを拾う。軟弱だ。思いの外メーターが進み、970円で春田着。新設駅らしく周りの道が狭い。
名古屋へ戻り、特別快速に乗り換える。時間が10分ほどあるので立ち喰いのうどんをすする。きしめんのスタンドもあるのだか、入った店は普通のうどんが出てきた。腹が減ってるので何でも旨い。

やってきた特別快速はさすがに座れず、刈谷まで立ち通す。いやはや、飛ばす! 時速130Kmくらい出ていそうな走りっぷりで刈谷までの24.4kmを16分で走破、表定時速91.5kmだ。そこいらの特急よりずっと速い!
刈谷では普通列車に乗り換え、二つ目の三河安城で下車する。ここは変わった駅で、新幹線こだま(種別上は特急列車)が停車するのだが、快速は全列車通過する。簡素な在来線ホームから時計台風の大きな新幹線駅舎へ長い通路でつながっているが、あえて駅前を歩く。まるで別の駅だ。
こんどのこだまは「流し目新幹線」100系、近く引退する車両だ。無くなる前に一度、一人用個室グリーン車を使ってみたい。みどりの窓口で聞くと、1室空いているので迷わず購入。ホームに上がるが、間違えて名古屋方面のホームへ行ってしまい、あわてて東京方面ホームへ向かう。今日は走ってばかりだ。

助六寿司最初で最後となるだろう、一人用個室グリーン車。シートが進行方向と直角なのは落ち着かない、窓が細かい傷で曇っていて外が見えない、時計がこわれている、パワーシートの音がうるさい等々、文句はあるが、扉のカギをかけ、カーテンを閉めればそこは自分の部屋だ。隠れ家感覚でなかなか良い。ほとんど平らにできるシートも良い。
豊橋では停車中に売店へダッシュする。また走っている。目当ては豊橋名物いなり寿し。残念ながら売り切れていて、姉妹品の助六寿しで我慢する。我慢といっても、しっかりお稲荷さんは入っているし、たくわん巻きも旨いので文句があるわけではない。個室でコーヒーすすって雑誌読みながら稲荷寿しを頬張る。
東京まで2時間半、いつになくリッチな帰途となった。東京駅では毎度おなじみコージーコーナーのシュークリームをおみやげに買い、新橋乗り換え浅草線へ急ぐ。