広島カープとごめん・なはり線 2002.07.06〜08

私は広島東洋カープのファンだ。それほど熱狂的ではなかったのだが、会社の同僚が阪神ファンで、その応援の熱さに触発されて今年はちょっと気合いが入っている。さらに、私は鉄道が好きだ。7/1に高知で路線が新しく開業するのだが、それはぜひ乗りたいと思う。
両方を実現するべく、夜行出の広島応援+高知で列車に乗るプランを考えつき、7月頭の週末、出かける。土曜の夜出発の変則パターンだが、これはJALの得割期間に合わせたためだ。本当はJASの「バースデー割得」も使いたかったが、残念ながらJAS便には合わせられなかった。


2002/07/06 (Sa)
今日は土曜日、夜から一人で出かけると子供に話したら、昼からぐずられ続ける。毎度のことながら後ろ髪を引かれる思いがする。今回はなんと、出発間際に次女もぐずっている。うぅ。。。
15−3と大きくリードされている広島−ヤクルト戦のインターネットラジオ放送を聞き、明日は楽しいゲームになるといいなと祈りながら自宅を出発。
今夜の宿は夜行特急、島根県の出雲へ向かう「サンライズ出雲」。奮発してA個室寝台に乗る。さすがに広く、洗面台やBSTVまで付いている。横になり、東京駅で買ったNREの「o-Bento」シリーズのスパイシー焼き肉弁当をつまみに缶ビールを空ける。横浜停車中、ホームの人の視線が気になるのでブラインドを下ろし、居眠りしながら気が付いたら熱海。もう寝る。

2002/07/07 (Su)
6:10に放送で目覚める。ブラインドを空けると快晴、これなら今日のゲームは開催されそうだ。
タオルを持ってシャワーを浴びに行く。A寝台の客は無料で一回(6分間)使える。6分間は結構長く、余してしまった。
程なく岡山に着く。併結してきた高松行き「サンライズ瀬戸」を切り離す。ここから新見まで、車内ラウンジで弁当を売るので買い求め、ラウンジで車窓見ながら幕の内弁当の朝食。なかなかボリュームがあり満腹になる。初めて知ったのだが、伯備線は景色が思いの外いい。
安来節で有名な安来で下車。東京から11時間、世話になったA寝台個室に別れを告げ、後続の普通列車で宍道湖を眺めながら東松江下車。古く痛んでいる駅舎が建つ。待合室にハチがいて驚く。
戻って揖屋。木曜あたりで見た天気予報では、この週末は天気が悪かったのだが、普段の行いに反して晴れ渡っている。

揖屋で壁貼りの時刻表を見ていて、重大なことに気づいた。このあと乗る予定の芸備線列車は、第一日曜日運休だ。。。今日が土曜日だと勘違いしていた。
急いで代替案を練る。夕方5時頃までには広島に着きたいし、できるだけ手元のきっぷも生かしたい。結局落ち着いたのは、このまま山陰線を益田まで西進し、山口線経由で小郡へ出て新幹線で広島入り。あーあ、木次線も急行みよしも、乗りたかったなー。
松江で特急に乗り換え、奇岩連なる海岸線を眺めながら快走する。古い駅舎が多いが、美しい瓦屋根が多い。つやのあるこの瓦を、石州瓦というのだろうか。
折居で行き違いのため停車。駅前が海で、下車してみたい衝動に駆られるが、残念ながらドアは開かない。
益田で車内販売が乗り、まだ暖かいかしわめし弁当の昼食。うまい。
津和野を通る。それまで閑散としたホームばかり眺めてきた目には、大勢の客がいるこの駅は別格に映る。構内の転車台ではC56が転向中、側線にはC57が停まっている。そう、ここはSL「やまぐち号」の終点だ。隣に停まっている古い客車は、やまぐち号の車両だろう。

淡々と山口線を走り小郡着。新幹線ホームへ走り、すぐ接続のひかりに乗る。普通のひかりではなく「ひかりレールスター」、JR西日本の誇るスーパー新幹線で、最高285Km/h、指定席は横4列シート、一部座席は車内放送軽減&検札なしの「サイレントシート」、一部座席は大きなデスクと電源のある「PCシート」と、これまでにないコンセプトの列車なのだ。残念ながら乗るのは自由席なので、特に変哲はないのだが。
通路側に座り、ちっとも楽しくない30分間を過ごして15:04広島着。同じ区間を普通列車だと2.5時間かかる。かかるのだが、この区間は断然在来線の方が楽しい。海に面して走り、瀬戸内の島々を眺めながらの2.5時間と、山中をトンネルでブチ抜く30分、時間があれば在来線を利用することをお勧めする。
おみやげの「ぷよまん」「もみじまんじゅう」を買って自宅へ送り、可部線列車に乗り込む。下祇園・三滝・安芸長束・古市橋と下車し、横川で下車する。横川、実に9年ぶりに降りた。9年前は大雨で、この駅で買った傘を広島駅で置き忘れてヘコんだ覚えがある。

路面電車で立町へ。ホテルに荷物を置き、身軽になって再度路面電車で市民球場入り、メガホン買ってスタンドへ!西日が暑い!ビールで弁当を流し込んだところでプレイボール。隣に座っている6歳の男の子と一緒に応援する。この少年、両親・祖父母と思しき人たちと観戦に来ていて、お母さんは熱心に応援しているのだが彼はさっぱり盛り上がらず、一緒にスクワットしようと腕を持ったりしたのだがダメ。。。仕方ないのでツマミに買ったポップコーンを「食べて!」と声をかけたらうれしそうに食べている。まだ、バカになれない歳かな?
試合は4−1でカープ勝利!緒方・金本のホームランに長谷川完投、最高!市民球場に3〜4回来ているが、初めて勝った試合を見た!
タクシーの運転手・ホテルのフロント氏と試合の話をして、シャワー浴びて寝る。

2002/07/08 (Mo)
6時に目覚め、シャワー浴びて6:45に出る。広島西飛行場へ行くのだが、行き方がわからない。やむをえずタクシーを捕まえる。昨日の試合のことや広島空港が非常に遠いことなどいろいろ語らって空港へ。広島版デイリースポーツの一面がいい感じなので、買っておく。
高知行きの便はJS31という非常に小さなプロペラ機で、座席を数えたら21しかない。そのうち1席は航空関係者らしき人が乗っており、実質20人乗りで乗客は11人。コクピットが見えるのも初めてで、離陸の瞬間はどきどきしてしまった。

高知空港近くの「のいち」駅から、今回の準メインイベント、ごめん・なはり線の旅を始める。7/1に開業したばかりのこの線は、旧国鉄の路線を引き継いだ路線としては最後の開業となるらしく、構想から37年が経過しているそうだ。きれいなコンクリート高架橋が連なる様子は、いかにも「新線」といった風情だ。6年前に近くをバスで通ったときは、不可思議なコンクリート構造物がぽつんと建っているだけだっただけに、感慨もひとしお。
やってきた快速の奈半利行きに乗る。数分遅れていて、2両連結の車内は8割方座席が埋まっている。思ったより乗車率がいい。
太平洋を眺めながら高架線を疾走し、安芸を過ぎて各駅に停車し奈半利着。5分くらい延着で、ホームはお年寄りでごった返している。今乗ってきた列車も、平均年齢が60を上回っていそうな旅客構成だったのだが、どうやら「せっかくできたから、一度乗ってみるか」的なお客さんが多いと見える。
隣の田野まで1.2Km、歩いてみる。漁港の入り口のような位置にある奈半利を後にし、国道を歩く。大きな川を渡るが、河口まで200Mくらいか、海が間近だ。
田野から高知行きに乗り込む。さっき乗ってきた列車が引き返すのだが、2両のうち1両は途中の安芸で切り離すらしく、ドアを締め切っていて乗せてくれない。車内はやはり年齢層の高い集団が陣取っていて空席がない。やむなく立って過ごす。海が見えて退屈しないのがせめてもの救いだ。
安芸で後ろの1両切り離し。だが、発車時刻になっても列車が動く気配がない。どうやら車輌が不調で、ドアが閉まらず困っているようだ。
10分遅れで安芸を発車。停まる駅停まる駅で乗り降りがあるのだが、停車してから腰を上げる乗客が多く、一向に遅れが回復しない。後免で10分ほどの接続で上り特急に乗るのだが、間に合うかどうか。。。
いくらか遅れを回復し、終点の一駅手前、後免町で客の7割ほどが下車する。土佐電気鉄道に接続があるからかと思ったが、どうやらそうではないらしく、記念乗車の団体さんのようだ。動きが非常に鈍いお年寄り団体で、後免での接続が気になる私はイライラする。
10分遅れで後免着、急いで上り特急が来るホームへ向かうが、影も形もない。どうやら2〜3分遅れているようで、イライラして急いで汗かいて、損をした気分だ。

やってきた特急「南風」は、JR四国の誇る振り子式ディーゼルカーで、シンプルな内外装に好感が持てる。自由席に空きがあるのでホッとして座り、車掌から琴平までの乗車券と特急券を買い求める。
土佐山田を過ぎ、四国山地の縦断にかかる。一気に人家が見えなくなり、線路もきつい勾配となり速度が落ちる。土讃線は何度か駅にちまちま降りたことがあり、ここから先ほとんどの駅に降り立った記憶がある。あまり雰囲気は変わってなさそうだ。
雨がぱらついてきた。今回は比較的天気に恵まれたと思うが、ここで雨とは。。。この先ケーブルカーに乗るのだが、けっこう歩く予定なだけにちょっと憂鬱。
橋の上にある駅の土佐北川で下り列車と交換。すれ違った列車はアンパンマンのペイントが施され、なかなかにぎやかだ。
大歩危・小歩危の峡谷をかすめる。水しぶきの中、ゴムボートで川を下る人たちがいる。ラフティングだろうか、一度やってみたいのだが、妻が全く興味を示さない。長瀞や水上でできるのに。。。
琴平で下車。威風堂々としたその駅舎を出て、琴電の駅まで駅前通を歩く。雨は上がり、痛いくらいの日差しが照りつける。
腹が減ったので、駅前の食堂で昼食にする。店は開店休業状態で、まってました!といったもてなしを受ける。ざるうどん大盛りを頼み、夢中ですする。うどんは元々好物だが、この暑い中で扇風機に当たりながら、旅先ですするうどんは最高だ。
みやげにうどんを送り、琴電の電車に乗り込む。駅員が3人いて、その3人とも事務所で居眠りしている。気持ちはよくわかるが、客から見えるのは、いかがなものかと。

古風な駅舎が残る滝宮で下車、駅舎を眺めてぼーっと過ごす。すると、逆方向の列車がやってきた。飛び乗り、駅名の愉快な栗熊に下車する。
折り返して瓦町で志度線に乗り換え、八栗で下車する。八栗寺へ行くためのケーブルカーへの案内がこれといってなく、駅員に聞いて歩き始める。延々と上り坂をのぼり、15分ほどでケーブルカーの駅に着く。すぐ脇に鳥居が建っており、あくまでも参拝のためのケーブルカーなのだと再認識する。
湿っぽく暑い。汗が滴り落ちる。ケーブルカーに冷房などあるはずもなく、あせだくだくで山上に着く。霧が出ていて雨が降っている。どうしようかと思案していると、駅員さんが傘を無言で貸してくれた。愛想ないが、ありがたく使わせていただく。
平日の悪天候、境内に人影はない。が、それがかえっていい雰囲気。純粋に祈りを捧げていたころの人々の息づかいが聞こえてくるようだ。なんつって。
駅へ戻って傘を返したら、今度はドクダミ茶をご馳走になる。客が全くいないので、暇を持て余しているようだ。実際、上りも下りもケーブルカーは貸し切り状態、私一人のために上り下りしてくれたようなものだ。
さっき汗だくで上った道を下り、20分で八栗駅着。そのまま高松へ行っても時間が余るので、古い駅舎が残る長尾線元山駅へ寄り道する。乗った列車が旧型の電車で、硬い椅子、ニスの香り漂う車内、飴色の手すり、博物館に置いてある車輌のようだ。
高松に17:50頃到着、大変貌を遂げたJR駅前を放浪し、駅前のセルフサービスのうどん屋に入り腹を満たす。大盛りを食べたのにすぐまた食べたくなり、別の店でまたかけうどんを食べる。旨い。満足ーーー。

空港行きのバスに乗り、市街地からやたら遠い高松空港へ。4年ぶりに利用する。
東京行き最終便に乗る。しまなみ海道を自転車で通るルポをビデオで流しており、興味深く見る。数年前今治のあたりを通ったとき、駅員さんにしまなみ海道を自転車で通るのを勧められた覚えがあるのだ。
のどが渇いてペットボトルのポカリスエットをがぶ飲みしたからか、足がむくんで辛い。羽田空港からは京急と都営を乗り継いで22:30に自宅着。

サンライズ出雲のA寝台個室

東松江の駅

かしわめし 〜山口線で

開業間もない「のいち」駅

開業113年「琴平」駅

琴電主力の元・京王電車

滝宮駅・造形美

琴電主力の元・京急電車

八栗ケーブルはデザイン奇抜

古色蒼然、でも現役