歩美と「はやて」 2002.12.23

12/1に東北新幹線が延伸した。同時に、平行する在来線が第3セクターに転換された。これは乗りたい。というわけで、クリスマス前の連休最終日、歩美を連れて出かける。

2002/12/23 (Mo)
朝4:30に目覚ましで起きる。普段は6:30に起きるのさえ苦痛なのに、好きなことをするときだと4:30どころか3:30でも余裕だ。現金なモンだ。
眠りこけている歩美を起こし、着替えさせる。よりによって半ズボンをはいている。寒いところ行くんだから長いのをはけばいいのに。
5:00、出発。まだ真っ暗だ。地下鉄で五反田まで行き、山手線に乗り換えるためホームへ上がったが、なんとこの時間、山手線が18分間隔。まるまる10分待たされる。築堤の上にあるこの駅のホームは、冬は昼間でも寒い。コンコースに降りて寒さをしのぐががまんならず、缶ミルクティーを買って歩美とかわりばんこですする。暖かい。
待ちくたびれた頃やってきた山手線は新型車、妙に混んでる、って18分開けば当たり前だ。
東京では早朝営業の売店へ寄り、おにぎりを買っておく。これは私の分で、歩美にはいなり寿司を持ってきてある。実は昨日(12/22)、静岡県の伊東まで青春18きっぷで歩美と出かけ、伊東の名物駅弁である「いなり寿司」を買ってきたのだ。その残り。

6:04発のやまびこ41号に乗り込む。今日使う切符は「盛岡たび割7きっぷグリーン車用」。歩美連れなので、ゆとりがありそうなグリーン車用を選択した。何しろ、普通車用と3000円しか変わらないので。しかし、この選択が後々失敗だったことを思い知ることになる。
アイボリーに緑帯の古い車両で、国鉄のグリーン車って感じの古ぼけた座席に座る。ガラガラなので隣に歩美を座らせておく。発車して程なく車掌が回ってきたが、最近新幹線では自動改札を通っている座席は検札しないらしく、席番だけチェックして素通りしている。が、歩美の座る席で立ち止まり、「切符を拝見します。」
空いてるから座らせてる旨を告げたら、「座席を利用される場合は、料金を頂くことになりますので・・・」とのこと。申し訳ない。。。まったくその通りです。
大宮をすぎ、空が白んできた。晴れている。天気が良くて良かった。雨なんか降られた日には、寒くて動く気力を失いそうだ。
早速、私はさっき買ったおにぎりを、歩美は持参のいなり寿司を、それぞれ平らげる。少なめにしたのには訳があるのだが、それは後述。
気がつくと福島に停車中。二人で居眠りしていたようだ。歩美はリュックに入れてきた紙と鉛筆で色々書いていた形跡があるが、力尽きた、という感じで座席にもたれかかっている。
仙台が近づいてきた。目指すは牛タン弁当。せっかく通るのだから、ぜひこの駅弁を食べたい。グリーン車は駅弁の売店からすぐのところに停車した。さすがグリーン車、考えられてるのかな?
二つ買い求め、急いで列車へ戻る。席に着いたら早速開封、紐を引いて温まるのを待つ。旨そうなにおいがあたりに漂う。いっただっきまーす!
私は夢中で平らげるが、歩美は箸が進まない。そういえば、前回東京ドームで食べたときもあまり食べずにおじいちゃん(私の親父)に渡していたんだった。苦手かな、こういう肉は。
やはり半分くらいでギブアップ、私が残りを胃に収める。ごめんな、いくら旨い旨いって言っても、苦手なもの食わされるんじゃ苦痛だな。

9時過ぎに北上に到着、ここで下車し、在来線ホームへ向かう。待っていたのは6両の「長い編成の」普通列車。2両がIGRいわて銀河鉄道、もう4両は青い森鉄道の車両のようだ。
盛岡−八戸間の東北新幹線が延伸したのは今年の12/1。同時に、平行する在来線は地元出資の別会社に譲渡された。岩手県側が「IGRいわて銀河鉄道」、青森県側が「青い森鉄道」という、第三セクターの会社だ。それぞれ新造した車両とJRから譲り受けた車両で運営している。私としては、在来線を放棄して新幹線一本で運営しようとするJRのやり方は理解できないのだが。国の金で線路(新幹線)作ってもらって、しんどいところも自治体に負担させて、なめてるのか、と。根本的に認識が誤っているかもしれないが、そう映ってしまう。
普通列車で次の村崎野で下車。すっごく寒い。コートを着てるが寒さが染み入ってくる。ちらちらと雪も降っている。歩美の半ズボンが寒そうで寒そうで、見てる方がつらい。
今日使った「盛岡たび割7きっぷ」は、新幹線を降りたら無効だと思っていたので、改札で北上からの運賃を払おうとしたら、不要と言われた。どうやら、下車したら乗車券部分はそのまま盛岡まで有効のようだ。ただ、途中下車は認められていないので、切符は取られたが。
ふと運賃表を見ると、釜石線に「小山田」、IGRいわて銀河鉄道線に「苫米地」という駅がある。いずれも降りたことがない駅で、そそられるものがある。念のために言っておくと、広島東洋カープの投手の名前です。
後続の列車で石鳥谷で下車、戻って花巻空港でも下車する。これら3駅はいずれも木造駅舎が残っており、カメラに納めておく。
さらに仙北町で下車、岩手飯岡にも降りる。新幹線の高架下にある岩手飯岡駅、時折轟音とともに新幹線が通り抜けていく。姿は見えないが。
歩美は腹が減ったらしい。そりゃ、牛タン弁当半分しか食ってないんだから、腹も減るわな。近くのスーパーでサンドイッチを買い、駅の待合室で食べさせる。もくもく食っている。よく食べる。父親似の燃費の悪さだ。

盛岡に12時前に到着、売店へ行ってみる。新幹線の八戸延伸を記念して生み出されたらしいリンゴのパイと、盛岡銘菓かもめの玉子を知人の家に送っておく。
IGRいわて銀河鉄道は、JRとは改札が別だった。まるで別の鉄道だ。元々山田線が発着していた、一番駅本屋に近いホームが転用されているようだ。
窓口で切符を買おうとしたら、1月中旬まで1日フリー切符が2000円で発売されている。今回は通り抜けるだけだが、それでも普通に買うより安い。迷わず買う。ついでにキーホルダーも買おうとしたが売り切れていた。残念、わずかでも売り上げに貢献しようと思ったのだけれど。
今度の列車は八戸行きの快速列車、2両編成のワンマン列車だ。すいている。歩美は座席で持参の紙とペンでなにやら書き始めた。私は車窓と駅舎の様子を確認するのに忙しい。
人家まばらな地域を快調に飛ばす。女性の車掌さんが乗務している。基本はワンマン運転だと思うのだが、土休日だけ乗務したりするのだろうか。

八戸には13:30過ぎに到着。列車を降りてすぐにお連れがトイレに行きたいと言い出した。たった今まで、暖房の効いたトイレが付いた列車に乗っていたというのに。。。
それにしても、以前にも増して手がかからなくなってきた。トイレについて行かなくても大丈夫で、自分で始末して戻ってくる。拭いてあげていた頃が懐かしくさえ思えてくる。最近は女性用トイレに入りたがるので、ついていくことができないんだけれど。
駅の売店で、駅弁が積まれて売っている。人だかりもできている。今回の旅の目的の一つに、ここ八戸で12/1から売っている駅弁を食べるということがあるので、早速のぞいてみる。あった、「倉石牛めし」に「まるごと倉石村」!仙台の有名駅弁業者と八戸近くの村がタイアップして作ったらしく、地元紙で紹介された。鉄道関係のサイトで知り、ぜひ食べてみたいと思っていたのだ。
このあと駅近くの温泉に入ってくるつもりだが、戻ってきて売り切れていたら悲しいので今のうちに買っておく。

歩美と風が冷たい八戸駅前を歩く。記憶の中ではもっと閑散とした駅だった気がするのだが、わりあい人が歩いていてそれほど寒々とはしていない。
駅前をしばらく進み、右斜めへ折れてすぐ、「八戸温泉」の看板が見えた。旅館が建っている。が、これは目的の温泉銭湯ではなさそうだ。さらにしばらく進み、道を間違えたかと不安になる頃、到着。「はちのへ温泉」。
歩美と私で400円ばかりを払って、湯に浸かる。食塩泉ゆえに床がとても滑りやすく、歩美は足下がおぼつかない。冷えた身体に熱いお湯が心地いい。極楽〜〜・・・。
さすがに6歳児には長湯は無理で、15分ほどで上がり、服を着る。脱衣場を出ようかとあたりを見回したが、どこが出口かわからなくなり、ここかな?という感じで開けたドア、その向こうは・・・。
やっちゃったよ、まかり間違えば捕まるかも? そう、女湯だった。。。
いそいで閉め、正しい出口を見つけてさっさと出る。気が動転している。歩美が心配そうに顔をのぞき込んでいる。あーあ。

駅へ戻り、盛岡までの新幹線のきっぷを買う。盛岡からははやてのグリーン車が取れているので、同じ席の八戸−盛岡を買う。これで盛岡で席を移らなくて済む。
飲物を買ってはやてに乗り込む。長野新幹線型の車輌がホームに停まっている。座席は車輌の一番前より、つまり自分より前に座席はない。助かった。歩美と二人でも何とかなりそうだ。
14:55、発車。行きの列車で車掌に注意されたことだし、空いている席に歩美を座らせるのはやめ、自分の座席に座らせる。私は、というと、足置きに腰掛ける。つまり、歩美と対面する形。端から見たらかなり異様な光景で弁当の包みを開く。歩美を歩美は「まるごと倉石村」、私が「倉石牛めし」。旨い。一緒に載ってるマイタケが何だか妙に旨い。ビールが進んでしまう。
トンネルの多い盛岡までの新線区間はあっという間に過ぎる。JR再完乗。居眠りしようにも硬い足置きではそれもかなわず、景色も見えず、つまらない2時間を過ごす。次は歩美の分もきっぷを買おうと、堅く心に誓う。
結局、隣の席には人が来なかった。確か満席だったはずだがなぁ。

北上で

足が寒そう

待って・・・

IGR盛岡駅

はちのへ温泉・質素な外観

「まるごと倉石村」

「倉石牛めし」

うまい?