娘と雪見に米坂・仙山線 2003.01.03〜04

「青春18きっぷでどっか行きたいなー」という話を元日に妻に話したら、OKサインが出た。あまりにあっさりOKで拍子抜けしたが、ありがたい話だ。早速インターネットの空席案内で空いている夜行列車を調べ、新宿発新潟行き「ムーンライトえちご」号の指定を取る。雪のある季節だし、米坂線はどうだろう。小さい駅に乗り降りして雪原の中の道路を歩いてみるか。
今回も6歳の長女がお供についてくる。しっかり耐寒装備させないとカゼひきそうだ。

2003/01/03(Fr)
朝から雪のぱらつく、寒い一日だった。今晩の新潟行き夜行快速「ムーンライトえちご」号で発つので、22:10過ぎに家を出る。今日もお供は長女だ。
出ようとしたら雨、しかもけっこう強い降り。寒いし気が滅入るなあ。
傘をさしながら駅へ向かう。あしたの朝食を入手できる見込みがないので、セブンイレブンでおにぎりを買っておく。最近よく話題に上る200円のおにぎりを買ってみる。
地下鉄で発車を待っていたら、さみしくなったのか娘が泣いている。なだめて過ごす。五反田のりかえで新宿へ行く。山手線が遅れていて、なかなかやってこない。さ、寒い。。。
新宿ではすでに入線しているムーンライトえちご号へ急ぐ。ビールを買おうかと思ったが、売店が全く開いていなく断念。娘は眠そうで、座席を倒してやるとタオルケットを抱いておとなしくなっている。窓を開けて外と話しているバカがいる。寒いっての。デッキでやっていただきたい。
山手線の遅れを受けて、4分遅れの23:13に発車する。この先雪なんかで遅れないといいのだが。すぐに検札が来たので、青春18きっぷに明日の日付を入れてもらう。この列車は高崎で日付が変わるので、高崎までは別にきっぷを買ってある。

165系電車の定期運用もこの列車が最後となり、それでさえ車輌置き換えの話が出ているくらいなので、もうそう何度も乗ることはないだろう。昭和59年、新潟駅で見た急行「赤倉」に始まり、現在までの18年間、一番好きだった車輌の最期、見届けたいものだが都合がつくかどうか。

池袋を出てすぐ、娘は就寝。酒無いし、私も寝るとしよう。
・・・と思ったら、大宮到着寸前で停まり、動かなくなってしまった。放送によれば、埼京線のパンタグラフ故障だそうだ。何で埼京線のトラブルがこの列車に影響するのかわからないが、とにかく前途多難だ。
気がつくと0時を回っている。すでに20分ほど停まっていることになる。高崎まできっぷを買って損をした。大宮までで大丈夫じゃん。
何本、高崎線や京浜東北線の上りが脇を通り抜けていったことか。いいかげんウンザリしてきた。デッキへ出る扉のすぐ脇の席なので、出入りするたび寒いしうるさいし。となりのお供が目を覚まさないのが救いだ。
いつのまにか運転できない理由が、大宮−高崎間の架線凍結に変わっている。そういえばさっき雨が降っていたからなぁ。復旧はいつになるのやら。

2003/01/04(Sa)
いつの間にか眠っていて、気がつくと大宮停車中。4時を回っている。もうマトモには着かないな、と思い始めた時アナウンスがあった。復旧が7時頃になる見通しであることと、東京へ戻る列車と振替の案内をしている。どうやら、新潟まで新幹線に乗れるようだ。しかも、青春18きっぷで。混みそうだが、乗る予定だった米坂線快速「べにばな」2号に乗り継げそうだ。
何やらエキサイトして車掌に食ってかかっている人がいる。気持ちはわかるが、JRは取るべき処置は取っていると思うのだけれど。車掌が気の毒だ。殴られないといいが。
6時過ぎ、新幹線ホームへ上がる。自由席の並び位置にはすでに長蛇の列、座れないことを覚悟して並ぶ。気温0度、あまりに寒いのでホットミルクティーのぺットボトルを買って暖をとる。

6:34発の新潟行き始発とき301号にのる。空いており、窓側の座席を1席ゲット。ラッキーだった。膝に娘を乗せ、昨日のうちに買っておいたおにぎりで朝食にする。パンググラフのスパークがすさまじい。凍っているようだ。景色も雪だか霜だかわからないが全体的に白く、冷えこんだことがわかる。だが、まぶしい朝日が車内に差し込みはじめ、今日は晴れだとわかる。娘は気分が悪くなったらしくグロッキー。最近たまにこうなる。かわいそうだが困ったもんだ。一気におにぎり食べるから。。。
高崎を過ぎ、隣が空いたのでそのまま座らせる。ちなみに今回は、新潟までは娘も座席を使う権利を持っている。新清水トンネルを抜け、新潟県へ。こちら側は天気がよくなく、時折みぞれ交じりとなっている。

新潟に8:16着、予定より3時間あまりの延着。乗り継ぐ予定の米沢行き快速「べにばな」は2両編成、ボックスシートに陣取って発車を待つ。小腹が減ったので、立ち喰いの天ぷらそばを久々の持込みどんぶりで車内で食べる。熱くて旨い。娘はさすがにあまり食欲がないようで、ウーロン茶ばかり飲んでいる。
相席になった老夫婦は、滋賀の能登川を昨晩23時過ぎに発ち、彦根から夜行急行「きたぐに」で新潟まで来て、この列車で米沢へ行き山形の北にある大石田という町まで向かう途中だそうな。長旅、おつかれさまです。
白新線を快走し、西新発田を過ぎると親父の建てた家が見えてくる。オデッセイが停まっている。どんな人が暮らしているのだろうか。程なく新発田、側線が多く大きな駅なのだと今さらながら気付く。昔は毎日学校帰りに見ていたのに。
娘はひたすらお絵かきに興じていて、前述の老夫婦に何かを書いて渡している。ご迷惑じゃないといいんだけど。。。
坂町から米坂線に入る。日本有数の豪雪路線だ。小国で除雪車とすれ違い、雪深くなってくる。吹雪いている。何だか「らしい」吹雪を久々に見た。宇津峠を越え、平野におりてきたところで羽前椿に停車、ここで対向列車と交換する。坂町から1.5時間、除雪車を別にすれば初の列車交換だ。5分停まるので駅前に出てみる。自販機一つないが、スナックが一軒あり、変わった駅前だと思う。

今泉で降り、山形鉄道に乗り換える。そのまま米沢へ行っても山形へ着く時刻に変わりはないのだが、久々に山形鉄道に乗りたくなったのだ。程なくやってきた一両のワンマンレールバスに乗りこむ。娘は雪で遊びたそうだ。赤湯で時間があるから、そのときにね。
やたら吹雪いてきた。子供の頃をかすかに思い出す。雪の中自転車で走り回って、リアタイヤすべらせてあそんでたなあ。20年も前のことになってしまった。
赤湯では駅前で娘に雪をさわらせる。雪玉ぶつけたらコケてしまった。ごめん。近くのみやげ物屋で甘酒をふるまっているのでごちそうになる。玉こんにゃくも頂き、唐辛し入りが旨かったので買う。娘もこんにゃくと甘酒を手にしてしあわせそうだ。ラ・フランスを1個オマケでもらって大はしゃぎ。家でむいて食べような。
山形までは山形新幹線「つばさ」に乗る。上りは今日は大混雑だろうけど、下りはガラガラ、乗った15号車はだれもいない。座席を向かい合わせて過ごす。
Uターン客でごった返す山形では牛めしを買い、村山行き列車の車内で食べる。普通の牛めしだが、ごはんが温かく旨い。娘はさっき「つばさ」の車内でおにぎりを食べているのだが、弁当も食べる食べる、半分を平らげてしまった。
山形を出るとすぐ、山形城のお掘の脇を通る。花見しながら列車も見られて、いい城跡だ。一度行ってみたい。桜の季節に。
漆山まで行って羽前千歳まで戻る。我ながらアホらしいことをやっていると思うことも多いが、木造駅舎の石油ストーブで暖まっていると、こういうのも捨てたもんじゃないな、と思ってしまう。

羽前千歳からは仙山線へ。山寺を通る。雪化粧をした山に寺の建物がへばりついて見える。おととしの春だったか、娘と登ったのは。春先で少し寒かった覚えがあるが、今日登ると修行になりそうだ。吹雪いてるし。
風が強いのか、木々が樹氷のごとく雪にまみれていて山が真っ白に見える。とてもきれいだが「酷寒」という表現が似合いそうな雰囲気、保線の方の苦労は大変なものだろうと想像する。
奥新川で下車する。人家まばらな山中の駅だが、意外にも百万都市・仙台市内である。雪舞う中娘と雪でしばらくたわむれ、折返して高瀬にも下車。開設記念碑などの建つ駅前をぶらつく。雪が激しくなってきた。
吹雪の中列車は走り、さらに作並にも下車する。ここは温泉と交流電化発祥の地として有名。温泉旅館の送迎バスが何台もいて下車客を手まねきしている。ここで始発の各駅停車に乗り換え、熊ヶ根で下車する。作並で吹雪いていた天気は、ここでは晴れ間が覗いている。
目指すは熊ヶ根ラドン温泉。寒い中早足で歩き出し、7〜8分ほどで見えてきた!が、明かりがついている様子がない。近くへ行ってみると、しばらく営業していた様子がない。。。
失意のうちに引き返す。また吹雪いてきて身も心も一層寒い。すぐ脇に仙山線の撮影名所、熊ヶ根鉄橋があり、渡る列車を眺められたのでよしとしようか。
腹がへったと娘が申しておるので、セブンイレブンでおにぎりを温めてもらい、駅で食べさせることとする。ふとバス停の時刻を見ると、すぐ仙台方面がくるようだ。となりの陸前白沢駅の近くも通るらしい。娘はバスが好きだし、私も下車駅が増えるので乗ってみる。
列車で3〜4分のところを5分でバスは走破、妙に速い。熊ヶ根よりはいくらか人家がある駅前を歩き、陸前白沢駅から仙台行の列車に乗る。
愛子では交換待ちで数分停車、外に出てみる。小ぢんまりとした木造駅舎が健在で、皇太子の娘の名にあやかってか、硬券の入場券が置いてある。迷わず買っておく。
徐々に乗客が増え、17:03、仙台に到着する。すでに暗い。コンコースで弁当と土産を買い、帰省Uターン客でごった返す新幹線ホームへ上がる。娘は「鮭はらこめし」、私は毎度おなじみ「牛タン弁当」、予備のおにぎりも一緒に。

仙台からは「はやて・こまち」22号。帰省ラッシュのこの日のこの時間の、人気の高い速達列車の指定席を2枚持っている。しかも取れたのは昨日の朝。朝6:30起きで空席案内とにらめっこを二日続け、ようやく取れたのだ。
車内で弁当の包みを開く。「鮭はらこめし」は、イクラごはんに鮭がいくつか載っている内容で、なかなか旨そうだ。私は牛タン弁当をいっただきまーす!
箸の進まない娘。鮭がマズイだのイクラが食べられないだのと、結局「鮭はらこめし」も私の胃に収まり、娘はおにぎり。ありがたみのわからない奴だ。高いのに。。。
いつのまにか2人して眠っていて、目が覚めたら埼京線と並走中だった。まもなく上野、娘を起こす。寝起きは機嫌がすこぶる悪い。
新橋乗り換えで帰宅する。「ムーンライトえちご」、もう1〜2度乗っておきたいなぁ。心残り。

ムーンライトえちご号

明治の建築・漆山駅舎

寒いぞ。。。

良くわかんないけどポーズ

吹雪の中でチーズ!

「鮭はらこめし」

結局おにぎり喰う娘。。。