寝る電車で五能線へ 2003.03.14〜15


前回(2/9に茨城交通に長女と出かけた)出かけた帰り、上野駅で札幌行きの寝台列車「北斗星」を見かけた。長女はその「寝られる電車」がいたくお気に入りで、今度はコレに乗せろとせがまれた。というわけで、青森行きの「あけぼの」B寝台車で出かける。五能線はどうだろう。ちょっと寒いかもしれないが、久しぶりだ。行く列車が先に決まっていて、後から行き先を決めるという、変な旅になった。
ここでちょっとお詳しい方なら、『「あけぼの」ならもっと安く寝台車を体験させられるだろ?』とお気づきかもしれない。そう、この列車には「ゴロンとシート」という妙な名前の、毛布などのリネン類が設備されない寝台を指定席特急料金で利用できるという席が設定されているのだ。
実は、この旅は3/7晩〜3/8に行くはずだった。「ゴロンとシート」も2席取れていた。が、その前日から長女はインフルエンザに罹り、やむなく延期。1週間後の、3月半ばのこの席が取れるはずもなく、普通のB寝台を使わざるを得なくなった。寝台料金は6300円と高いので、子供の分は取らずに添い寝することにして1席確保したのだ。さてどうなるか・・・。

2003/03/14(Fri)
21:41に上野を発つ「あけぼの」を利用するには、自宅最寄りの駅を20:40過ぎには出発しなければならない。だが、20:30になってもお供は寝ているのだ。ちなみにそのお供は今回も長女、今日卒園式を迎え、いよいよ来月からは小学生だ。その卒園式で疲れたのか、少し眠ると言って布団にもぐり込み1時間、熟睡しているようだ。出発するぞと起こしたが機嫌がすこぶる悪い。
荷物を用意させていざ、出発。出ぎわに泣いて母親と握手している。父の心中は穏やかではないね、おい。

今回利用するきっぷは「東日本パス」。JR東日本完全民営化感謝月間とかで、3月の週末は1日8000円、二日で12000円の破格の値段でJR東日本管内が乗り放題になる。今回はこの1日用を使う。このきっぷにはクーポン券が付いていて、ペットボトルのお茶がもらえるらしい。五反田のキオスクで2本もらっておく。また、「あけぼの」の、明日になって最初の停車駅である新潟県の村上まで乗車券を買っておく。6090円、高い。ついでに明日の帰りに使う予定の「はやて」を取っておくことにする。

山手線で上野へ。長女は眠そうで、反応が鈍いし表情も暗い。が、上野駅にすでに入線していた「あけぼの」を見るなりテンション急上昇、ニコニコしている。思い出したか、貴嬢ご所望の「寝る電車」だ!
取ってあった席は上段、早速登らせる。危なっかしい、下段にすればよかった。興奮してキャッキャ言いながら寝台で転げ回っている。カーテンを閉めて隙間から私を眺めてご満悦。好きにしてなさい、お父さんはビールを飲んで外を眺めるのが好きなので。
程なく発車、通路の椅子に腰掛けてビールを開ける。旨いーー。ツマミが売店の乾きものだけでしょぼいのが難点だが。視線を感じて主を捜すと、後ろ上方から長女が見ている。ツマミが喰いたいらしい。チーズをちょっとだけあげる。
大宮を過ぎ、眠くなってきたので寝台に這い入る。しばらく長女と卒園式や明日のことをしゃべっていたが、やがて静かになった。私も寝る。明日は秋田でお弁当を買うという重責を負っている。買い損ねると下手すると朝食抜きになっちゃうのだ。

2003/03/15(Sa)
70センチ幅の寝台に、6歳児と大人一人は無理がある。
何の遠慮もなく眠る長女。40センチは占拠してうつぶせで寝ている。残りのスペースでうつぶせと仰向けの中間、縦になって眠った私。落下防止用の2本のベルトがベッドみたいなモンで、何度か片足が落ちて目が覚めた。
6:30に起き出し、通路の椅子で車窓を眺める。雪がかなり残っている。下段の人が話しかけてきた。八郎潟まで行かれるようだ。昨日の晩エロ雑誌を読んでいたのを知っているのでちょっと引いてしまうが、気さくな方だ。
6:50過ぎ、秋田到着。弁当を買うためホームに出る。寒い。「牛めし」と「ハタハタすめし」を仕入れて寝台へ戻る。長女には牛めしを渡したが、あまり食べない。しまった、肉が最近苦手なんだった。。。すまん。
ハタハタすめしは、焼きハタハタが3匹乗っていて、なかなか旨い。トンブリは初体験、魚卵のような食感だ。
気が付くと車販が秋田から乗っている。とても不愛想だけど。ホームへ出なくても弁当を買えたのか・・・。
外は雪景色、すこし降っている。


東能代で「あけぼの」を降り、五能線に乗り換える。長駆弘前まで行く列車で、5両の長い編成で停車しているが、1両は次の能代で切り離し、2両は途中の向能代からは回送扱いらしい。つまり、終点まで乗り通せるのは2両だけだ。
平凡に水田地帯を走り、海が近くなってきた所にある「あきた白神」駅で下車する。目の前に温泉施設があることを調査済み、湯に浸かっていこうと思う。
9時オープンらしいが今は8:50、恐る恐るカウンターの女性に聞いてみるとOKとのことなので、400円を支払って3階にある温泉へ。目の前に日本海が迫り、迫力があってなかなかいい感じだ。長女は湯が熱すぎて私の入っている湯船には入ってこれない。隣の湯船は温いようなのでそれを教えてあげると、どうやらちょうど良い温度らしく、気持ちよさそうに泳いでいる。他に客がいないからあまりうるさくは言わないが、ホントはそういうことはダメだぞと釘を刺しておく。
はー、極楽。八戸駅近くの温泉にも帰りに寄りたくなってきた。
露天風呂もあり、ちょっと入ってみるが、外から見えないように取り付けられた目隠しのカヤで海が全く見ない。つまらないので戻り、30分ほどで上がる。コーヒー牛乳を2人で飲み干し駅へ戻る。最近のコーヒー牛乳って、蓋が簡単に取れるんだ、つまらない。

次に乗るのは「リゾートしらかみ」号。五能線を一周する観光列車で、個室っぽい4人席と普通の席がある。窓が非常に大きく、それでなくても魅力的な五能線の車窓がより一層ダイナミックに楽しめる。・・・っと、JRのパンフみたいなほめ言葉はこのくらいにして、本当に窓が大きい。編成の両端にミニラウンジがあり、子供とここでしばらく過ごす。
奇岩連らなる海岸線で、列車は徐行してくれる。さすが観光列車だ。昔、九州・肥薩線では運転手が景色のいいところで停車してくれたのを思いだした。そのとき客は2人しかいなかったのだが。
ウェスパ椿山は欧風の建物がいくつか建っていて、寒村風景と海岸線を見てきた目には異質に映る。駅前には変なモノレールのようなレールが。山上へ登っていく。何かテーマパークでもあるのだろうか。
深浦を過ぎ、赤茶けた岩の海岸線を行く。子は先頭のミニラウンジで居合わせたおばさんと入り浸って、席へ帰ってこない。それを良いことに私は一人で車窓を堪能する。
そのミニラウンジでは、鰺ヶ沢−五所川原で津軽三味線の生演奏が行われることになっている。鰺ヶ沢駅を過ぎたところで、すぐ見えるところにおばさん二人組がやってきて演奏が始まった。ラッキー。
そのおばさん達は、三味線2曲と民謡?2曲披露して五所川原で降りていった。滅多に聞けない津軽三味線生演奏、聞き覚えのある調子で楽しかった。

五所川原を過ぎ、まっ白な雪原を走る。ほんとにまっ白!足跡一つ付いていない平坦な土地、水田だろう。岩木山が見える。綺麗な形だが上の方がモヤかかっていて残念。長女が居合わせたおばさんにお菓子をもらって大よろこびで戻ってきた。まったく。。
川部で反転し、弘前へ。朝から菓子ばかり喰ってる長女に、そろそろマトモに食事をさせたいのだが、弘前駅ホームには弁当が売ってない。。。

青森に13:30着。駅のそば屋で「めかぶそば」を食べる。このあたりの駅そば屋では必ず置いてある名物だ。旨い。長女はえび天そばを四苦八苦しながらすすっている。テーブルが高すぎて彼女には合わないのだ。
程なくやってきた「きらきらみちのく」号に乗る。さっきまで乗っていた「リゾートしらかみ」にそっくりな車輌で、こちらは海側の席が外を向いていて、首が痛くならずに車窓を楽しめるようになっている。その席に座る。長女はやはりミニラウンジが好きで、さっそく行って腰掛けている。
どういう訳だか、乗っている車輌の客がほとんど鉄道ファンと思しき男で、異様な雰囲気だ。自分も似たようなものなのでとやかく言うつもりは無いが、あんまり大声でマニアックな会話をするのはいかがなものかと。
列車は津軽線を北上する。車窓から見える海のむこうに下北半島や夏泊半島が遠く望める。
蟹田で下車する。列車はこの先、津軽線の三厩まで行って八戸へ折り返すので、乗ってみたかったのだが、さすがのそれだと東京着が22時を回り、6歳児を連れ回すのにはやや難があるので断念。
蟹田の駅前をを歩き、砂浜に出てみる。長女はいつの頃からか砂浜で遊ぶのが大好きになり、大はしゃぎで波とたわむれている。父親は父親で、生物探して浜をウロウロ、似たようなものか。
30分ほどで駅へ戻る。程なくやってきた特急列車は津軽線を青森へ、さらに東北線へ直通し八戸へと向かう。このまま八戸まで乗り通すつもりだ。この特急列車、JR北海道の車輌を使っており、気分はちょっぴり北海道の旅。
長女がハラへったと言いだした。青森でそばを残したくせに、うるさい。仕方がないので、何か車販で買うつもりでいたが、静かになったと思ったらヨダレ垂らして寝ていた。拭いてやる。いくつになっても寝てる顔は変わらない・・・ような気がする。
私も眠くなってきた。小川原湖を眺めながら少し目をつぶる。

八戸では弁当ー!私は前回と同じく「倉石牛めし」、長女は押し寿司の「小唄寿し」を買う。小唄寿し、旨そうだ。1050円もするけど。土産を買い、ビールも買い込んで「はやて」に乗り込む。程なく発車、弁当を広げてやると旨そうに食べている長女。寿し好きだね。。。
となりの席の人がコーヒーをこぼしてしまい大変だ。座席がジャブジャブで、手持ちの紙と座席のヘッドカバーを渡し、敷いてもらう。いやはや、災難ですね。
相変わらず黙々と食べる長女。私はビールを空ける。蟹田で買っておいたホタテ塩焼きがやたら旨い!ビールが進む!www.kidofood.co.jp/で通販してるらしい。これはかなりオススメだ。左党の友人がいる方は、送ると喜ばれそうですよ。
薄暗くなってきた雪景色の中を走る。景色が水色から青、そして藍色になってくる。
盛岡では「こまち」と併結。子供を肩車して様子を見せる。子連れのお父さんが多く、みんな子供を肩車して満足げ。考えることはみな一緒だ。
よっぽど腹が減っていたのか、さっきの小唄寿しを平らげたのにまだ何か食べたいとのたまう長女。盛岡で「海鮮弁当」という、1000円もする幕の内を買って開いたら、エビフライ1本食べておなかいっぱいだそうな。うー。ビールに牛めしにこの弁当、食い過ぎだー。
ビール2本が不覚にも効き、いつの間にか眠ってしまっていた。長女が退屈そうに私をつついているので、ザウルスを渡し、お絵かきをタイム。私より自在に操って、色々な色を使って絵を描いている。いつの間に覚えたのやら。
自宅には21時過ぎに到着。次女はすでに夢の中、今日は一日「パパはーーー?」「あゆちゃん(長女のこと)はーー?」を連呼していたらしい。可愛いヤツだ。


あけぼの号

初・寝る電車

温泉施設・ハタハタ館

リゾートしらかみ号から海を見てる

きらきらみちのく号で。ラウンジ好き

車掌笑ってます

海!!!