徳島線完全踏破 2004.12.11〜13

冬の青春18きっぷの季節がやってきた。血が騒ぐ。変な言い方をすると「むずむずする」。どっか行くしかないな、と。妻の了解を何とかとりつけ、一人で一日乗り回れることになった。
どこへ行くか?・・・1年前から暖めていた「徳島線完全踏破プラン」(※注:「完全踏破」とは全駅降りる、の意)をついに発動する日が来た!同じころから構想していた「北上線完全踏破プラン」もあるのだが、岩手県は寒そうなので今回はパース。

2004/12/11(Sa)
午前中は家の中(もっぱら古時刻表や雑誌の整理)を片づけて、午後は川崎へ家族で買い物に出掛けていた。なんか休日してるなぁ。
自宅最寄りの駅を19時過ぎに出発、目指すは東京駅の八重洲口、高速バス乗り場だ。
今回、徳島までのアプローチに使うのは、東京−高知を結ぶ夜行バス「ドリーム高知」号。徳島へは明朝5:18着の予定である。
目指す徳島線の始発列車は徳島発5:47なのだが、この時間までに徳島へ着ける交通機関は、このバスの他は名古屋発の夜行バスしかないのだ。
東京駅を20:30に発ち、徳島までは約9時間の道のり。いい席だと助かるのだが。ちなみに2階建の独立3列席で、元々居住性はバスではトップクラス。
日本橋で地下鉄を降り、歩いて東京駅へ向かう。地下にある大丸百貨店でつまみでも、と思って下りてみると、何と20時で閉店だった。。。21時までやっているのは平日だけなのか。。。RF1のお総菜でも、と思っていたのだが、残念。。。
仕方ないので開いているおむすびやさんでおむすびを買い、売店でビールを1本買って乗り場へ急ぐ。酔っ払いが大声でがなりたてていてうるさいが、なかなか面白いことを言っている。東京拘置所がうんたらかんたら・・・。
バスに乗り込む。今日は続行便が出ていて、2階建のバスの後ろに1階建のバスも停まっている。早めに予約してよかった、私が乗るのは2階建。
座席はなんと2階の一番後ろ、つまり後ろの人に気兼ねしないで済む!しかも隣2席は空席!ラッキー!!
20:30、定刻に出発する。程なく乗務員がおしぼりを配りにやってくる。クーラーボックスの中の飲み物はサービスらしい。至れり尽くせり。
ビールを飲みながらザウルスをつつく。今日はチャンピオンシップ、埼玉スタジアムで熱戦が繰り広げられているに違いない。経過をチェックしておく。
すぐに眠くなり、空気枕を膨らませて眠る。快適快適。

2004/12/12(Su)
何度か時間調整しながら走ったようで定刻に徳島駅着、さ、寒い。。。すぐにトレーナーを着込む。それでも寒い。
前回この駅を利用したのは11年前、もっと背の低い素朴な感じの駅だったと記憶しているが、立派な駅ビルに変わっていた。温かい飲み物を買い、暖をとる。
しばらくして改札が始まったので列車に乗り込む。JR四国の1000型。まだ辺りは真っ暗、最初の2〜3駅はまともに駅舎を撮影できないかも。。。
蔵本で下車、やはり暗くて立派な木造駅舎はまともに撮影できず。駅前に人がいるのでいってみると、湧き水を汲んでるらしい。蔵清水というそうだ。
歩いて鮎喰へ。真っ暗な住宅地を歩く。星がきれいに見えているが、東の方から夜が明けてきている。朝焼けがまたきれいでしばし見とれる。使い捨てカイロを貼っているからかいくらか寒さが紛れる。
後続列車で西麻植(にしおえ)へ。難読駅名だ。途中、これまた難読駅名の府中(こう)・牛島で数分停まるので降りて駅舎を眺める。寒い。霧が出ていて見通しも利かない。
折り返して麻植塚(おえづか)、阿波川島に降り、さらに石井でも折り返す。あたりはすっかり明るくなったが寒いのは相変わらず。霧はようやく晴れてきた。

8時を過ぎ、徳島へ行く客で上りは混雑して来ている。編成こそ2〜3両と短いが、15分毎に列車が来てしかも結構乗っている。大混雑は困るが、適度に人が乗っているのは鉄道ファンとしてはうれしい。
途中、学駅で数分停車する。駅前へ出てみる。広く知られた縁起駅名で、受験シーズンは入場券がよく売れるという。残念ながら土日は窓口がお休みで買えないのが残念。
阿波山川で下車する。ホーム片面、つまり行き違いができない駅で、しかも土日は無人、でも特急は停車する。
後続はその特急列車なので、穴吹まで一駅だけ特急を利用する。2両のささやかなその特急は、指定席が16席しかない。
吉野川に寄り添う。対岸までが遠い!!徳島線は吉野川に沿って敷設されているが、ここまでは川までが遠く、全く見えなかった。
穴吹では、駅前でぶどう饅頭という地元のお菓子の無料試食会が行われていた。時間があまりないので試食はせず、一つ買い求めてまた列車に乗り込む。慌ただしい。。
折り返して山瀬で下車する。6年前に下車しているはずなのだが全くと言ってよいほど記憶に無く、実質初めて降りる駅だ。
降り際に、今朝どこかで見かけた車掌さんに「全部の駅まわってるんか、元気やのぉー」と呆れられる。まあ、自分でも酔狂だとは思っているけど。
近くの古い学校?のような建物を見て回ったりして戻り、また列車に乗る。
小島で下車、古い回廊のある駅舎が残る。吉野川が近いので行ってみる。やっぱり対岸が遠い!
駅へ戻るとき、妙な石積の土台のようなものを見つけた。どうやら蔵の跡らしい。川に近い地域の苦労が偲ばれる。
戻って川田。お昼時なので食事ができるところを探したが皆無、雑貨店でパンを買い無人の駅で寂しい昼食。予想はしていたが、侘しいな。。。
三加茂・貞光と折り返す。曇ってきたがさほど寒くない。写真の写りが悪いけど。やっぱり快晴の日は写りが違う。
辻で下車。駅舎内にラーメン屋が入っているが今日は休みらしい。高校が近くにあるので平日の夕方は賑わっていそうだ。特に大きな交差点がある訳でも無いのだが「辻」駅、何か謂れがあるのかどうか。
折り返して阿波半田でも下車。これにて徳島線全駅下車。ついに雨が落ちてきた。まだぽつぽつだが、不思議と阿波池田あたりでは雨に降られることが多い。

阿波池田では土産を物色、高知行の普通列車に乗り込む。側線にキハ58+キハ65が停まっていて、思わず写真を撮ってしまう。両車共、四国が終焉の地になりそうな雰囲気だが、永く頑張ってほしい。
高知行きの列車は二駅先の祖谷口で降り、すぐに折り返す。高知へ向かうのも魅力的だけれど、そうすると明日の朝に自宅へたどり着けなくなる。仕事は夜勤だからいいが、次女を保育園へ送り届ける任務は不可避なのだ。。。
祖谷口に停まる手前で、古そうな吊り橋が見えた。あれは渡ってみたい!
列車を降りるや否や一目散に向かい、正面に立つ。親柱もあり立派なものだ。大川橋というらしい。脇に竣工年月が書いてあるようだ、読んでみる。・・・昭和8年着工、昭和10年竣工。。。70年経っている。。。意を決して渡る。床板は張り替えたばかりなのか新しいし、管理を放棄された雰囲気ではないので大丈夫でしょう。
・・・長い。優に100メートルはある?あまり高いところが得意ではないので、竦み上がったまま対岸へ。すぐ折り返す。ふと目に留まった注意書き「二輪車は通行禁止、自転車も」・・・あんまし大丈夫じゃないかも。
一度は上がっていた雨がぱらついてきたので、急いで駅へ。静かだ。たまに通る車の音と雨の音しか聞こえない。暗くなってきて、待合室は自動で明かりが灯った。
列車は2分ほど遅れて阿波池田着、琴平方面行きの普通列車に乗り換える。あ、さっきのキハ58+キハ65だ!どちらに乗るか迷ったが結局65に。DML30HSD型エンジンの勇ましい音に酔いしれるとしよう。58のDMH17Hは換装されちゃっていたような気がするし。
閑話休題。佃を過ぎ、山越えに入るとエンジン音が重くなり速度も出なくなる。そうしているうちに箸蔵着、6年前の早朝に降り立った覚えがある。近くに箸蔵寺へ登るリフトがあったが営業時間外だったっけな。朝7時前では当たり前か。
讃岐財田で数分停まる。降りて車両撮影してしまう。人が少ないので気兼ねせずに撮れる。アイドリングまでいい音だ、キハ65。
すっかり陽も暮れたところで塩入で下車する。ほんとは自身のルールでは日没後は降りないことにしているのだが、塩入は撮影しておきたい。
そして降りた塩入。カメラの限界の感度でなんとか撮れる程度。うーん。。。
なぜか自分の軽自動車を駅前に置いて、怪しく停まっていた年配男運転のベンツでどこかへ消える派手目な女の人。ドラマの一場面を見たような、そんな感覚だ。
明け方に比べると寒くは無いがもう真っ暗。夏ならもう1時間は普通に動ける明るさだろうが、冬至も近い今ではもう深夜と変わらない。
折り返して黒川へ。降りたはいいが真っ暗、ろくに照明も無いような土手を降りる歩道しかない。恐る恐る降りる。目が慣れないと躓く暗さ、こけたらしばらく転がるぞ、これは。

すぐにやって来た列車で琴平へ。向かうは正体不明の石丸温泉なる銭湯だが、地図も無くて見つかるはずも無く、店先を片づけていた老婦人に場所を聞くはめに。温泉ではないらしいが、面白そうなので行ってみる。
古い昔ながらの銭湯がそこにはあった。入っているのは私だけ、能登半島の鵜飼温泉もこんな感じだったなぁ。天井がカビで真っ黒なこと以外は概して気持ち良い浴場で、空いていることもあり、良かった。銭湯好き的には当たり、かな。
ゆっくり浸かり、知人に聞いていた居酒屋「小染」へ。が!閉まってる!お休みのようだ。。。がっかり。
急に気分が萎えたので、坂出あたりで飲むことにし、駅へ向かう。ただ、空腹は耐え難いので、うどん屋で一杯すすってから行く。
次の高松方面は特急、大して料金もかわらないので、JR四国の誇るハイパーディーゼルカーを堪能しようと思う。
やってきたJR四国2000系気動車。速い速い、文字通り突っ走るという雰囲気で飛ばす。だが、乗った車両は変速機の調子が悪いのか直結段(トルクコンバータを介さずに駆動する状態)になかなか入らない。
30分ほどで坂出着。駅前をざっと見て・・・飲み屋がない。すこし歩いて・・店じまいモードの店ばかり。。。
けっきょく村さ来に入る。何やってんだか。開いている店が少ない!!まだ21時だというのに!日曜日だからか?
1時間くらいで出て駅へ。今晩の宿はサンライズ瀬戸のノビノビ座席。春には廃止がうわさされている列車だ。上段に乗り、瀬戸大橋の車窓を眺める。はるか下に見えるコンビナートがきれいで驚く。
・・・いつの間にやら熟睡、気が付けば新大阪を通過中。ブラインド下げて寝る。

2004/12/13(Mo)
横浜停車直前で目が覚める。ノビノビ座席には空気枕が効果的だと分かった。長蛇の列をなしている京浜東北線や東海道線のホームを上から眺め、ゆうゆうと発車する。
顔を洗って歯を磨いて、ボーッとして過ごす。品川に停車してくれると楽だが、横浜の次は東京まで停まらない。
川崎辺りで信号機故障とかでのろのろ運転、結局東京には7:33着。急いで帰らねば!
新橋まで戻り、浅草線へ急いで乗り換える。あー尻が痛い。一昨日の夜行バスか、昨晩のノビノビ座席か。
結局、自宅には8:10着。妻はやや怒り気味だった。次女を送り届けたら寝なくちゃ!今夜は夜勤だ。

駅名標では御利益はないか。。

「けんざん」ではなく「つるぎさん」。特急です

座ったの、おいらで何人目?

祖谷渓の希望の星だった?

DML30HSDの咆哮と共に