雪の富山で駅巡り 2005.12.16〜18

仕事で忙しい中だが青春18きっぷのシーズンでもあるし、安上がりで行きたい駅を回れるプランを立案しちょっと出かける。

2005/12/16(Fr)
早め(といっても22時半)に帰宅し、ばたばたしながらシャワーだけ浴びて軽く食事して出発する。ここのところタクシー帰りも常態化、妻には迷惑をかけっぱなし。そんな中で出かけさせてくれることに心から感謝。
時は忘年会シーズンの週末23時過ぎ、山手線は酒臭い人たちで膨れあがっている。新宿までが長く感じる。
今夜の宿は夜行快速「ムーンライト信州81号」、すでに入線している。鉄道ファン向けのサービスなのか何なのか、しばらく特急「あさま」のヘッドサインを掲出していて、思わず写真に納めてしまう。
ビールを1本買って乗り込み、わりとまともな座席に腰掛け眠る。空気枕を破損してから夜行で寝るのが少々きつい。

2005/12/17(Sa)
ガラガラのままで列車は中央線をゆく。隣も空いたままなので助かる。うとうとしながら甲府・松本と過ぎ、まだ真っ暗な5:08、信濃大町着。冬でなければ立山黒部アルペンルートへ向かう団体でそこそこ賑やかなのだろうが、凍てつく12月では登山客もまばら、行楽客とおぼしき人影はあるわけもない。
当たり前だが非常に寒い。背中と腹にカイロを入れてあるが焼け石に水だ。ココアを買って暖をとる。
後続の快速南小谷行きで小一時間眠る。途中の簗場でDD14303型機関車による除雪列車とすれ違う。

ほのかに明るくなった6:20に南小谷へ着き、駅前から出る村営バスで一駅先の中土駅へ向かう。途中の旧道沿いの集落の雰囲気がとても良く、暖かい時期に再訪したくなる。
バスはやがて落石覆いが連なる険しい区間を通る。旧道なので交通量は皆無に等しく、なにやら不気味な雰囲気が漂う。
中土の集落に入り、駅前で下車する。ここまで客は途中の集落まで一人、中土駅前まで私一人、以上。採算云々以前の問題と思われる。
暖房があるわけもない無人の中土駅で待つこと30分、南小谷行きの始発列車がやってきた。懐かしのタラコ色一色(首都圏色)を纏ったキハ52、撮影しようとしたらデジカメのバッテリが切れた。まだ6枚しか撮ってないのだが。暖めながら使わないとさすがに厳しいか。
さっそく乗り込む。ここで運用されているキハ52は機関を換装していないので、国鉄気動車の雰囲気が存分に味わえる。アイドリング時に発する「カラカラ・・・」という予備燃焼式機関に特有の音が懐かしい。
終点、1時間前に降り立ったばかりの南小谷で下車し、キハ52を思う存分撮影。いいなあ、このカラー。私がまだ新潟県在住であった小学生の頃は、気動車といえばタラコ色かキハ58系のようなクリームと朱のツートンカラーだった。
この車両が、次に乗る予定の糸魚川行きとして折り返すので、そのまままた乗る。暖かいので眠くなる。昨晩はわりと寝られた方だったが、さすがに寝不足か。
車内の客の約半数が鉄道ファンと思われる。不気味な列車だ。そういう私も鉄道ファンなので大きな事は言えないけれど。
小滝で下車、古い木造駅舎を眺めて過ごす。駅前が凍結しており、滑って転びそうになる。かっこ悪。。。
折り返し南小谷行きを待つこと15分、やってきたのは一般色塗装!夢みたい!私は実際に目の当たりにするのは初めてで、感動する。窓周りがクリームで裾が朱色の、キハ58系とちょうど逆のような塗装で、古い鉄道写真にはかなりの確率で登場する塗装なので、鉄道ファンで無くてもご存じの方がいると思う。
車内は暖かいが外は吹雪、このあと北小谷駅で30分ほど待つのだが、拷問のような時間を過ごすことになりそうだ。
北小谷で下車、かなり雪があり、スニーカーで来ているのですぐに雪が入って動くのにしんどい。失敗した。
無人化されて久しい北小谷駅はやはり寒く、温かい飲み物を買おうにも自販機すらない。あまり動かないようにして過ごす。なにやら三脚を持った男が駅へやってきた。撮影派の鉄道ファンと思われる。特に会話は交わさないが、こんなところへこんな時期に三脚・銀箱持って現れるのは鉄道ファン以外考えにくい。

一般色のキハ52が南小谷で折り返してきた。乗り込み、姫川で下車する。糸魚川寄りに徒歩5分ほど行ったところにある、「フォッサマグナ糸魚川温泉−ひすいの湯」へ向かう。以前大糸線を通った時に見かけ、姫川駅下車の暁にはこの温泉をセットで、と考えていたのだ。
塩化物泉でよく温まる。酷寒耐久後なのでよけいに有り難みを感じる。昨晩はろくに風呂も浴びずに出たので、ゆっくり浸かっていたら時間が無くなり、急いで支度してタクシーを呼ぶ。大糸線の列車はしばらく無いので、糸魚川か青海までタクシーで移動するつもりでいたのだ。
タクシーを待つ間、瓶入りのコーヒー牛乳を飲む。風呂上がりはコレでしょう。さすがに腰に手を当てるのは気後れしてできないが。
待てど暮らせどタクシーがやってこず、気を揉んでいると、この後青海駅から乗る予定の列車の発車時刻10分前にやっと来た。間に合うのかな。。。
とりあえず急いでもらうが、残念ながら乗り遅れる。運転手さんが気まずそうにしているので、後続の列車で向かうことを明るく告げておく。
乗る予定だった列車で富山まで行くつもりでいたのだが、次に富山へ向かう列車は特急で、青海に停まらない。すぐに来た糸魚川行きで一駅戻る形になる。糸魚川には特急が停まる。

思いがけず時間ができた糸魚川の駅前で昼食にする。約8年前に家族で来たときも入った覚えのあるラーメン屋さんで、ラーメンと半チャーハンを食べる。後で妻に聞いたところ、8年前も同じメニューを食べていたようだ。進歩がないというか何というか。。。
やってきた特急「北越」で富山へ向かう。今時珍しくなった簡易リクライニングシートに辟易しながら、寒々しい景色が広がる海岸線を眺める。
いつの間にか居眠りしていて、気が付くと魚津を出たところ、まもなく富山だ。

雪がこんこんと降っているが活気のある富山駅を出て、すぐ脇にある富山地鉄の電鉄富山駅へ向かう。地方私鉄ながら立派な駅を持っていて、格の違いを感じる。
数駅先の越中荏原へ寄り道する。古い木造駅舎が残っているのだ。高校生の通学タイムにかかっていて駅が大混雑、写真を撮るのに気を遣う。
すぐに戻って、電鉄富山駅からJR富山港線の富山口駅まで歩く。吹雪いていてそのままではとても歩けそうにないので、コンビニでビニール傘を買って差して歩く。
住宅街の中にある富山口駅からJRの気動車に乗る。富山港線は全線直流電化だが、朝晩のラッシュ時を除き気動車で運転されている。コスト低減の為だろうが、気動車よりコスト高の電車というのも解せない。
9年ほど前に一度下車したことのある蓮町で降りる。駅舎が半分解体中で、悲しい場面に出くわしてしまった。残りの半分が解体されないことを祈る。
雪で足場が悪い中、隣の城川原まで歩く。道行く車が水しぶきを掛けていくのに腹が立つ。あまりに注意が足らないのではと。
城川原駅も木造駅舎はすでになく、春に移管予定の富山ライトレールの運転管理所建設で工事事務所のような装いになっている。
富山港線はこの春にJRの管理から離れ、第3セクターの「富山ライトレール」として再出発する予定となっていて、一部路面電車化されて富山駅前へ乗り入れる予定だ。春には再訪してみたいものだ。
再び気動車に乗り下奥井で下車、ここは木造駅舎が健在で嬉しくなる。しかも曰くありげな特徴ある形をしている。ここから隣の越中中島までまた歩く。ここは歩道が整備されていていくらか歩きやすい。
15分ほどで越中中島へ着く。すぐ脇でライトレールの電停整備工事をやっているが、待合室らしい建物が見あたらない。冬場は寒くて辛そうだが、大丈夫なのだろうか。
また気動車に乗り込み、競輪開催日よみ営業する臨時駅、その名もズバリ競輪場前駅で下車する。かなり雪が降っているのに競輪をやっているのにも驚くが、臨時駅なのに駅舎があり集札・出札のために係員がいるのにもっと驚く。かなりの利用があると思われる。
さて、ここから隣の東岩瀬駅まで歩く。600Mほどと近いのだが、猛烈に吹雪いている上に東岩瀬から乗る列車の発車まで8分しかなく、ただひたすら急ぐ。向かい風で足場も悪く、なかなかしんどい。
そんな思いをして、吹雪なのに走ったので汗ばんでたどり着いた東岩瀬の駅は、独特の枯れた雰囲気を持つ木造駅舎で、しんどい思いをして来た甲斐がある。

程なくやってきた気動車で富山へ戻る。富山駅では、向かい側に停車中の列車が見慣れない塗装で驚く。北陸では普通に見かける475系電車なのだが、交直流急行電車時代の塗色だ!実物を見たことはほとんど無く、写真に納めておく。よく見たら、ちゃんと60Hz向け用の裾の細線まで再現してあって、芸が細かい。
何時間か前に向かった電鉄富山駅へまた向かう。JRの特急は、雪の為かいくらか遅れが出てきている。
不二越上滝線の電車で開発(かいほつ)へ。ぼたん雪がこんこんと降っている。これは積もりそうだ。
開発の、手つかずの古めかしい駅舎を眺めて、折り返し上堀へ。ここも見応えのある駅舎で、思わず溜息。願わくば、文化財としての保存を考えて頂きたい代物だ。
しばらく富山方面の列車が無いので、隣の朝菜町まで歩いてみる。だが、時はすでに17時近く、薄暗い町中に雪は降り続き、手元に地図はない。仕方がないので、線路脇の道とも畦ともつかない足跡をたどって歩く。たちまち靴は濡れ、指先が冷たくなる。
朝菜町はで狭い待合室で列車を待つ。雪がかなり強くなってきた。元々雪の降る地域だから、列車が止まるとは思っていないが、あまり遅れられると困る。今晩の23時過ぎには岐阜県の大垣にいないと、明日朝に東京に着けない。
やってきた電車を不二越で降り、バス停まで歩くが、道が悪く歩きにくいし雪で前が見にくいし、ひたすら靴の選択を誤ったことを悔やむ。足が痛い!
バスに乗り、西町の交差点で下車する。まだ18時前なのだが、やけに静かだ。そこそこ繁華街だと思っていたのだが、そうでもないのだろうか。
遠くから路面電車が体を揺すりながらやってきた。傘を広げていると電車に触れてしまうような狭い西町電停から10分ほどで、本日何度目かの富山駅に到着する。かなり雪が積もっている。

富山駅では売店で弁当とおにぎりを買い求める。買ったのは甘エビ寿司とぶり大根のおにぎり。ますのすしも考えたが、食べるのが面倒なのとたまに違うモノを食べてみようと考えたのだ。まだ18時、酒は買わない。代わりにそば茶を買って金沢行きの普通列車に乗り込む。金沢で乗り換えの合間に酒とつまみを買おう。
475系電車のボックス席をゲット、暖かくて快適、快適。買い物帰りか、発車間際にけっこう混む。特急は軒並み遅れ、多少のあおりは喰らいそうだ。
高岡を過ぎていくらか車内が空いてきたところでぶり大根のおにぎりを食べる。これが大当たり、すごく旨い。冬に富山駅で軽食買うならこれだな。
やや遅れて金沢に到着、元々8分しか乗り換え時間が無く、何も買わずに時間切れで福井方面の列車に乗る。どこかでお酒、買えるかな。。。
このまま普通列車を乗り継いでも、大垣発23:19の東京行き夜行快速「ムーンライトながら」には乗れないので、途中の加賀温泉から福井までは特急を利用する。その加賀温泉駅には約10分遅れで到着、程なく特急がやってきた。大阪行き雷鳥号、国鉄時代の塗色のまま走り続ける類い希な列車だ。天気がすぐれないせいもあるのかガラガラで、自由席に腰掛けて福井までの30分を過ごす。車内販売が回ってきたらビールか酒でも買おうかと思ったが結局回って来なかった。
高架駅に生まれ変わった福井で、長浜行き普通列車に乗り込む。この時点で約15分遅れ、この先長浜では1分接続の米原方面列車へ接続し、米原で大垣方面の列車に15分接続なのだが、徐々に遅れ幅が増大していてなにやら雲行きが怪しい。
さすがに不安になったので車掌に聞いてみたが、詳しいことはわかりかねるとのこと。保険の意味も兼ねて特急の利用を勧められた。うーん、であればさっきの雷鳥に乗らずに、連続した区間で乗った方がお得だったのだが。。。
敦賀で下車し、後続の特急「しらさぎ」に乗り換える。売店はすでに閉まり、駅前も店があいている様子はない。凍えるようなホームで待つこと30分、ようやくやってきた列車に乗り込む。すでに約30分遅れだが、どこまで取り返せるやら。
「しらさぎ」の車両は、JR西日本が誇る683系特急型で、照明が暖色系なのと車内の内装に手を抜いていない雰囲気が好印象。同じJRの特急車でも、JR東日本のあずさ・房総特急に使用されるE257系に比べると、特別料金を払って乗る気にさせてくれる。
今日は雪のため、北陸を経由する夜行列車は軒並み運休のようだ。この旅に出る前、帰りの列車を「ムーンライトながら」にするか、金沢発上野行の急行「能登」にするか迷ったのだが、「能登」を選んでいたら今日は帰れなかったわけだ。
先ほどまで乗っていた長浜行きをダイヤ通り近江塩津で追い抜く。あちらは45分は遅れそうだ。保険をかけておいて正解だったようだ。
この列車は米原で名古屋行きひかり最終便に接続しているのだが、どうやらそれはできないらしく、その後のこだまへと接続する旨の案内が放送される。

結局米原には21分遅れで到着、急いで大垣行きのホームへ向かうと、まだ列車は入線しておらず結構な列になっている。もっと早めに入線させておけば、寒いホームで待たずに済むのだが。
22:33に発車する。さっき乗ってきた「しらさぎ」は折り返し金沢行き最終「しらさぎ」になるようだ。この時間から金沢まで行くのか。。。遙かな道のり、ご苦労様。
暖かい30分を過ごし、23時過ぎに大垣に到着する。大垣の駅近くに売店の類が全くないことは知っているので、今晩は酒なしだ。
「ムーンライトながら」の発車8分ほど前にホームへ出る。ただひたすら寒い。すぐ脇の線路を大分・熊本行きの夜行特急が通過していく。
肝心のムーンライトながらが定刻になっても入線すらしない。訝しく思っていたら、遅れている貨物列車の通過を待って入線するらしい。そういう案内は、もっと早めに流さないとダメだと思うのだが。寒いホームで旅客は情報もなく待つことになるのをどう考えているのやら。常々思うが、JR東海は細かいところの詰めが甘いというか、気が利かないというか、そういうところが多い気がする。
23:24頃ようやく入線、座る。さっさと眠る支度をしていたら、この後来る米原発の普通列車の接続を待つらしい。あれ?それじゃ、さっき特急で追い抜いた普通列車に乗っていても間に合った可能性が高いな。

2005/12/18(Su)
15分ほど遅れて無事大垣を発車、名古屋は朧げに覚えているが、そのあとは横浜の前まで熟睡だった。酒がないのによく寝たなあ。
品川で山手線に乗り換えて、五反田で浅草線へ、といきたいところだが、浅草線の始発までまだ40分もある。寒いし、恵比寿でラーメンでも食べよう。
恵比寿で下車、寒い中ラーメン香月へ行ってみたが、なにやら団体さんで大混雑、仕方がないので別の店でカツ丼をかき込む。
道ばたで吐いたり駅構内で煙草吸ったりしている人がいる。都市の朝を感じるなぁ。
五反田へ戻り、浅草線で自宅へ。家族はまだみな熟睡だった。

タラコ色

懐かし?の一般色

475系の正装

文化財として保存希望

ただひたすら寒い朝菜町駅