在来線完乗〜山陰・九州'98.8.7〜8.9行程はこちら

1.「だいせん」の夜

JR(国鉄)のりつぶしを目指している方は多いと思うが、何を隠そう私もその一人である。
その気になったのが中学一年だから、13年目ということになるかな?

その13年目に、やっと在来線完乗の機会がやってきた。青春18きっぷ×2を使っての、8/7から8/9の金曜夜出発→日曜帰りを妻に許されたのだ。
ちなみに未踏破区間は山陰線宍道−浅利・益田−長門市、宮崎空港線田吉−宮崎空港の三区間。
私は東京都大田区在住なので、18きっぷのみでは不可能。新幹線&飛行機の旅行となった。

東京19:56発のぞみ29号に乗車。のぞみに乗るのは3年ぶりだ。インターネットの空席案内では満席だったのだが、JR東日本・VIEWカードのサービス「とれTEL」だと取れた。なぜ?
景色が見えない時間帯のC席なので、ずーっと愛機リブレットでメール見たりMS-ACCESSのDBを組んだりして過ごす。
22:26、定刻に新大阪着。すぐ発車の東海道線に乗る。思ったよりすぐ列車が来たので、未下車駅の塚本まで行く。
駅前の本屋で雑誌を買い、尼崎へ向かう。高速道路が真上にあって、落ち着かない駅前だ。
改築されてきれいな尼崎駅は、23時が近いこともあり、売店はしまっていた。ビールが買えない。
すぐに入ってきた今夜の宿「だいせん」。宿といっても座席車だが。
B寝台3両に座席車2両の心細い編成で、座席車は指定と自由が1両づつ。自由は禁煙だが、指定は喫煙可である。夜行列車は全面禁煙にすべきと思うのだが。
数年前「ちくま」で乗ったことがあるような12系改造の客車で、「のぞみ」の後だとかなり窮屈だ。となりの客がタバコを吸う人で、眠れない。文句は言えないが・・・。


2.山陰線踏破

福知山、豊岡と主要駅で目が覚める。客車の座席夜行に乗ったのは久しぶりで、3年半前の「はまなす」以来となる。
目が覚めると赤碕。夜が明けてきている。大山だろうか、上半分は見えないがすそ野が見える。
定刻に米子着。先行する松江行に乗り込む。ガラガラで気持ちよい。原色キハ58も乗る機会が減った。私が小学生の頃はどこにでも走っていたような気がするのだが。
松江は高架化された近代的な駅だ。ただ、広すぎて寒々しい印象はぬぐえない。
さっきまで乗っていた「だいせん改」快速に乗り込む。雰囲気にひかれて玉造温泉で下車。
特急停車駅とはおもえない静けさだ。温泉にでも浸かっていきたいが、今回は強行日程なのでパス。すぐ折り返す列車があるので隣の乃木にも下車。駅近くのコンビニで朝食を買い求める。パソコンショップのような店があるが、つぶれてしまったのかやけに汚い。
出雲市行に乗車。宍道湖に沿って走る。道路がなければもうちょっと景色がいいのだが。
出雲市の駅も高架化されていた。一畑電鉄の駅が見下ろせる。
駅の表裏を無くすという意味で高架というのは優れた構造だと思うのだが、必ず階段の上り下りを強いられるのでエレベータ・エスカレータは必須の設備と思う。
大田市行きがすぐ出る。ワンマンのキハ120型だ。
途中の田儀で数分停車した。海に近い。乗客がタバコを吸いに外へ出る。私も缶コーヒーを買い求める。
大田市は比較的小規模の駅で、最近まで東京直通寝台特急が停まっていたのが信じられない。
出雲市へ行くのだろうか、小中学生をたくさん乗せてキハ120が折り返していった。
快速「石見ライナー」に乗り込む。わりあい空いており、座ることが出来た。
海岸線をひた走る。海水浴場が多い。海も2年くらい行っていない。子供がまだ小さいせいもあるが。
益田から長門市行きに乗りかえる。そろそろ昼飯時なので「かにめし」を買い、乗り込む。
暑い! 冷房がない! 非冷房の列車も久しぶりだ。
車両がキハ45系でほぼ統一されているこの区間、やはり旅客は少ないようで、立ち客もいる車内を見回しても、地元らしい人は数えるほどしかいない。
東萩で大勢乗って来た。さすがに観光都市だけのことはある。
萩駅に停車。強行日程でなければ降りたい駅なのだが・・・。
長門市で小串行きに乗りかえる。今度はキハ40、冷房車だ。この時点でJR西日本完乗。
5年前に一度乗っている区間だが、20時頃なので景色の記憶がない。南九州のような感覚だ。
小串で下関行に乗りかえる。小串の駅も、南国の駅の雰囲気だ。南風崎に似ている気がする。
結構客が乗り込んでくる。キハ58では乗り降りに難がある。
幡生から山陽線に入り、線路が交錯しながら下関到着。感動のある駅だ。本州最西端の風情がある。

3.久々の"贔屓"九州上陸

すぐ連絡の九州方面列車に乗りかえる。5年ぶりの関門トンネルだ。
小倉で下車。北九州高速鉄道に乗り込む。小倉の駅も変わった気がする。
北九州高速のモノレールは、小倉の町並みを見渡せてなかなか気持ちいい。車内はガラガラだ。
ふと案内図をみると、終点企救丘はJR志井公園のそばらしい。本当に近かったら乗換えてみたいが、城野は全然別の場所なのに案内してあるのであまり期待しないでおこう。
終点、企救丘に到着。案の定、どこに志井公園駅があるのかわからない。案内もないようだ。
今来た道を折り返す。競馬場を造成(改築)中のようだ。
小倉に戻り、黒崎へ向かうのだが空腹だ。5年前に黒崎駅で食べたゴボ天うどんが忘れられないので、小倉で立食いうどん屋をさがし、食べる。汗だくで食べるが、うまい。来たかいがあった。
各駅停車で黒崎へ向かう。混んでいる。ジェットコースターのように上をまたぐ貨物線があり、貨物列車が走っている。こんなのをみてると、日本はまだ大丈夫だと思ってしまう。
黒崎で下車し西鉄北九州線を目指す。レトロ焼きという妙な食べ物が売っているので、買って西鉄線車内で食べる。もやしお好み焼きもどきだ。うまい。
頭が5年前から「全面的に九州贔屓モード」になっているので、なに食ってもうまい。
折尾に到着。近代的な西鉄の駅とは対照的に、JRの重厚な駅。何度みても絵になるスタイルの駅だ。折尾へ来たならかしわめし。快速車内で食べる。さっきから食べてばかりだ。
福間で下車して、西鉄津屋崎を目指す。すぐにバスが出ていたので、飛び乗る。
途中、宮地嶽神社の鳥居の前をバスは通る。関東以東で育った身には、ほとんど聞いたことのない神社だ。
西鉄津屋崎駅は、小ぢんまりとしたたたずまいの駅で、券売機もないが、駅スタンプがあり駅員のおばさんも気持ちがいい。15分ほど待って貝塚行に乗る。
単線だが結構運転頻度が高いので、頻繁に行き違いをする。様々な種類の車両が走っているとわかる。
貝塚からは福岡市営地下鉄に乗る。博多−姪浜しか乗ったことがないので、福岡空港まで行く。各駅ごとに決まっている切り絵のようなイラストが新鮮だ。
福岡空港は新横浜のような雰囲気がある。何にせよ、飛行機に乗らない私には場違いなので、早々に博多へ戻る。
今年の夏休み期間中、"JR九州限定青春18きっぷ" こと「」が売り出されているのをご存知だろうか。明日は博多から宮崎空港まで乗るので、話のタネにこのきっぷを使うことにした。

5年前に使ったカプセルホテルへ向かう。途中道に迷い、まるまる2往復分歩いてしまった。


4.九州南下

始発4:56発に乗るため、4時起きの九州の朝。眠い。
博多の駅はやけに「やんきー」(死語)が多い。指輪をしているからか、声をかけられる。
5時前だというのに結構ホームに人がいる。皆眠そうだ。
813系電車は、そのデザイン・車内アコモともにJR東●本の詰め込み&合理主義では到底実現しそうにない切れ味だ。
時間があるので遠賀川で下車。室木線が分岐していた跡が残る。芦屋線の跡は・・・分からない。
昨日に続いて黒崎下車。まだ弁当が来ていないそうな。ショック。
歩いて黒崎車庫前まで行き、折尾行に乗車して熊西で下車。熊西からは筑豊電鉄に乗り、直方へ。JR直方へは遠いらしく、歩くのもしんどいのでタクシーに乗る。やたら飛ばしてくれて3分で到着した直方駅は、その威風堂々たるや、折尾にも負けていない。
平成筑豊鉄道に乗るつもりだが、券売機にはこの鉄道の駅名がない。なぜ?
謎は解けた。他の第三セクターにもありがちな、JRの駅の隣に申し訳なさそうに建てる駅方式だったのだ。それにしてもここはひどい。屋根と券売機しかない。

第三セクターも数あれど、複線区間を持つのはここくらいだろう。あまりに不釣り合いな軽量気動車が快走するのは、かつてを知る人には胸の痛む光景かもしれない。国鉄時代からの駅の構内の広さがむなしい。
列車は糸田線に入り、田川後藤寺へ。駅が建て替わっており、瀟洒な駅になっていた。ごついキハ58が不釣り合いな雰囲気だ。
金田まで戻る。分岐点なので売店くらいあると思っていたが、何もない。駅前に商店もない。朝から何も食べていないのでかなり空腹だ。
やってきた行橋行は2両編成だが、後ろの一両は途中の油須原止まりだそうだ。添田線跡などを眺めながら走り、勾金、油須原、犀川と降りてみたい魅力的な駅名が続く。
行橋は高架化工事の進行中で、上り列車と平成筑豊鉄道は高架に移っていた。下りホームへ行くのに、階段を降りたり登ったりで難儀した。もうちょっと考えて欲しいものだ。「ご了承」にも限度がある。
行橋で「かしわめし」をゲット。折尾とはまた違った雰囲気でうまい。
このまま行っても宇佐で列車が途絶えてしまうので、いろいろ検討した結果、宇島から柳ヶ浦まで特急利用に決定。宇島は、ステンドグラスのような駅名表示の駅で、凝っている。
乗った特急は787系。5年前は周遊券と豪遊券でつばめ三昧しただけに、愛着のある車両だ。車内は混んでおり、デッキで立って20分弱を過ごす。
柳ヶ浦で待っていた大分方面行きは元急行用の457系。南九州エリアに入ってきたことが実感できる。
杵築で数分停車。よく手入れされている風の、木造駅舎がいい雰囲気だ。
時間があるので亀川で下車。温泉街は遠いのか、あまり観光地めいてはいない。一駅戻って豊後豊岡にも降りた。目の前に国道と海がある。なんとなく越後滝谷に似ている気がする。
ここの駅前の農協で金を下ろす。農協で都銀のカードが使えるとは知らなかった。
大分ではうどん屋へダッシュ。かしわうどんを食す。九州来たならかしわうどん、三陸行ったらめかぶうどんは食べたほうがいい。うまさに驚くだろう。どちらも駅で食べられる。
大分から乗った幸崎行で大在下車。駅前がすっきりしている。駅舎も構えが大きく、天皇が来たことでもあるのだろうか。
一駅戻って鶴崎下車。ここはひどい。駅前が自転車で占拠されていて、モラルを疑ってしまう。
ここから乗り込んだ列車が長駆、延岡までを走破する数少ない列車なのだが、713系2連の短い編成。さぞ混んでいるだろうと乗り込んだが、余裕で座れる空き具合。まあ、こんなもんだろう。
幸崎−臼杵間は、やたらアンティークな駅が続く。降りてみたくてしょうがない。
臼杵で数分停車。5年前、愛媛県八幡浜からフェリーで渡り、ドリームにちりんで南下したことのある駅だ。ほとんど記憶にない。
佐伯では25分停車。天ぷらうどんを食べる。「食わなきゃ損!」に近い感覚で食べる。うまい。おばさんがしくじって天ぷらたぬきにしたので、お得な食事になった。
車内に戻って発車を待っていると、隣りのホームに大分方面からの列車が到着。そう、25分停車している間に、次の列車に追いつかれたのだ。失敗した。うどんをあきらめれば上臼杵あたりに下車できたのだ。
一日5往復しか列車が停車しない区間に突入。特急は時間1本あるだけに、特異さが浮き上がる区間だ。それほど辺鄙とはおもえない出だしだが、直川あたりから山に分け入り、人家が見えなくなる。
宗太郎で数分停車。駅舎は取り壊されており、井戸のような物体に「日豊線一うまい水」と書いてある。本当か?
駅前におばさんが一人、「どこからきたの?」「大分のほうからです」「あ、そう。遠くからねえ」と、しばしの会話。
次の市棚でも数分停車。ここも駅舎はすでに無く、ただっ広い空き地があるだけの駅前だ。
雨が降ってきた。南九州で雨が降ると、5年前の辛くも楽しい「台風襲来」を思い出す。93年夏、九州を旅行中、ドリームつばめ缶詰1回、大分駅足止め1回、指宿枕崎線キハ47車内缶詰1回と、散々な目にあったのだが、これはこれで貴重な体験だったと思う。

延岡からサンシャイン車両に乗る。813系とつばめを混ぜたようなアコモの車両で、なかなかいいのだが、ドア近くのクロスシートの足元が極端に狭い。しょうがないのかもしれないが・・・。
日向市の駅は、近く高架化されるらしい。地上駅舎のうちに降りておきたいが、今回はかなわない。
名前にひかれて美々津に下車。1番ホームが異様に低く、乗り降りに一苦労しそうだ。ログハウス風の駅に改築してあるが、素朴でいい雰囲気だ。
二駅戻って財光寺にも下車。何のことはない新設駅だが、駅名がいい。
宮崎方面の列車に乗り込む。乗った車両がいわゆる「サロ改」クハ455-600。ピッチの広い座席、独特の一段下降窓、幅の狭いドア・・・しばし急行「日南」グリーン車に乗っている気分に浸る。
都農で「彗星」とすれ違いで数分停車。一度降りてみたい駅だったが、願いがかなった。
リニア実験線が近づいてくる。東都農の駅には展望台があったと聞くが、いまは良く分からない。
佐土原で下車。かつて妻線が発車していたホームには佐土原折り返しの気動車列車が発着するようだ。


5.完乗

佐土原駅ホームで南宮崎行を待つ。ホームが熱い。
宮崎神宮駅は、神宮の近くらしい塗装がしてあり、ここも下車してみたい駅だ。
宮崎駅は、5年前より活気があるようにおもえた。ホーム別の改札も健在だ。
ここから、宮崎空港行の最終列車に乗る。宮崎までは特急「にちりん」で来た485系だ。同じアコモ改良でも西日本「北近畿」用車両に比べると品があると思うのは、九州贔屓だからだろうか。
いよいよゴールが近づいてきた。あたりはすでに薄暗い。列車は大淀川を渡り南宮崎停車後、暗くて良く分からないうちに田吉を通過。日南線が別れて左手に空港が見えてくると終点、宮崎空港だ。
列車は定刻に到着。「踏破したぜ!」より「終わっちゃったな」という感覚を持ちながら出発ロビーへ急ぐ。

羽田行最終JAL308便で帰宅。

行程先頭へ

西馬込 1909- 新橋 1935- 東京 1956-<29A>-2226 新大阪 2230- 塚本 -<>- 尼崎 2308--

--<705〜3735:R>-553 米子 554-<135D>-626 松江 637-<3735:R>-646 玉造温泉 655-<280M>-700 乃木 717-<137D>-758 出雲市 802-<371D>(小田820-24、田儀829-37)-852 大田市 909-<3121D:R>-1110 益田 1126-<571D>(江崎1151-55、須佐1203-08)-1330 長門市 1346-<969D>-1452 小串 1458-<883D>-1540 下関 1543-<5561M>-1557 小倉 1604-1625 企救丘 1632-1651 小倉 1707-<>-1717 黒崎 1721-*1731 折尾 1745-<4361M:R>-1807 福間 1823=1833 津屋崎 1838-1918 貝塚 1927-1937 中州川端 - 福岡空港 - 祇園

祇園・・博多 456-<120M>-546 遠賀川 614-<122M>-625 黒崎・・黒崎駅前 636-708 筑豊直方・・直方 718-<1307D>-751 田川後藤寺 758-<1308D>-810 金田 818-<2207D>-920 行橋 924-<2533M>-947 宇島 950-<5005M>-1007 柳ヶ浦 1013-<633M>(杵築1044-49)-1108 亀川 1115-<4632M>-1119 豊後豊岡 1133-<635M>(別府1144-51)-1207 大分 1220-<1629M>-1234 大在 1242-<1628M>-1246 鶴崎 1255-<2747M>(幸崎1313-19、臼杵1342-45、佐伯1420-45、直見1457-1500、宗太郎1526-38、市棚1546-53、北延岡1609-14)-1619 延岡 1632-<749M>-1708 美々津 1729-<748M>(南日向1735-46)-1750 財光寺 1756-<751M>(都農1818-23)-1848 佐土原 1902-<6863D>-1921 宮崎 1926-<5015M>-1934 宮崎空港 2000-2130 羽田 = 大鳥居 - 京急蒲田 - 品川 - 泉岳寺 - 西馬込