東北私鉄探訪 1999.5.28〜5.30 行程はこちら

JR東日本の株主優待券が2枚ある。
どうしよう。でかけよう。
というわけで、またも妻子を置いて東北へ出かける。
悪い亭主だ。

5/28
池袋西口から夜行バスに乗る。前々から聞いてはいたが、夜の池袋駅西口の汚さ・うるささ・品の悪さはすさまじい。
岩手県交通のバスは初めて乗る。3列シートだ。
今日はビールもないが、さっさと寝る。

5/29
目が覚めると高速道をひた走っている。まだ5時だ。
幾分遅れて前沢三日町着。前沢の町中に一人、降り立つ。
朝早いせいか、人の姿が見えない。
肌寒い。防寒具を忘れてしまった。
歩いて10分ほどで前沢駅に辿り着く。木造の小さな駅だ。
前沢といえば「牛」が有名だが、あまりアピールを感じない。
30分ほど待ち、始発の盛岡方面行に乗る。結構乗客がいる。
陸中折居はデザイン性を感じる作りのようだ。降りてみたい。
水沢で下車。貨物扱い設備もあり、大きな駅だ。
スイッチャーが停まっている。
水沢江刺まで行きたいが、バスの便は非常に少ない。
まだ7時前、バスはなく、やむなくタクシーを使う。
一台も客待ちしていないので呼ぼうとしたら来た。
地方都市の早朝は金にならなそうだ。
水沢江刺は開業から14年、あまりひらけていない。
ただでさえ人のいないところに敷きがちな新幹線で、後年開業の駅なだけにやむを得ないだろう。
新幹線は空いている。土曜の上りはもっと混んでいるかと思っていた。
ビュフェ営業列車だが、やってない。仙台からだろうか。
くりこま高原で下車。ここもまたまだこれからの駅だ。田んぼの真っ只中に忽然と現れた近代建造物といった風情だ。
くりはら田園鉄道の沢辺までバスに乗る。レトロ風バスで運転されており、「栗夢号シャトル」と書いてある。客は少なく、先行きが心配だ。
ここでカメラのフィルムを切らした。失敗した。駅で買っておけば良かった。
沢辺は古風ないい駅舎だが、フィルム切らしたのは痛い。
やってきた下り列車は2両編成だが、どちらも高校生でいっぱいだ。
ご多分に漏れずマナーは悪いが、タバコを吸っているやつがいないのはよい。
乗ったレールバスは見覚えがある。名鉄のお古? 気のせいかカラーリングも昔のままのような気がする。
全線架線柱が残る。気動車化した方が安く上がるとは、意外な気がする。
段階的に降りてゆき、終点まで乗り通したのは私1人。乗務員は2人だが。
かつての終点細倉駅跡を通過、細倉マインパーク前駅へ滑り込む。専用線跡が先へ延びているようだ。
細倉駅は、跡といっても駅舎・ホーム共に完全に残っている。資料館か何かで再生できそうだ。
細倉マインパーク前駅は造成中のニュータウンのようだ。人気が少なく、静かすぎる。
駅前に役目を終えた電機が貨車と共に置かれている。雨ざらしで状態が良くない。どうせ飾るんなら、屋根くらいつけるものだと思うのだが。
駅近くにコンビニを見つけ、フィルムと朝食を買う。商売になるのか不安な立地だ。
石越行で折り返す。ドアが不調でしっかり閉まらず、起動できないことが度々ある。おかげで少しずつ遅れてきている。石越ではあまり乗り換え時間がないのだが。
客が少ない。2両つないでいるのはさっきの通学輸送用で、今は半車で十分だ。地方鉄道は高校生の通学で持っているのは本当のようだ。
沿線には腕木式信号機が残る。凸型電機が走っていた頃は、さぞかし忙しく動いていたのだろう。
柳原は車庫併設。昔写真で見た小型電車や、カルダン駆動でやけに近代的な車輌たちが留置されている。が、架線がない今、彼らが動くことはもうないだろう。
石越はJRもくりはらも味のある駅舎だ。くりはらの方は、曲線が取り入れられて優雅な感じがある。両鉄道を接続させていたヤードはすでになく、一面の草原。
乗り換える一ノ関行は4分遅れ。一ノ関で6分接続の下り新幹線に間に合うかどうか駅員に聞いたら、一ノ関に連絡してくれ、走るようにと指示をいただいた。ありがたい。
一ノ関ではダッシュ、余裕でセーフ。すいている自由席で車販のコーヒーをすする。うまい。
盛岡でははつかりに乗り換えるのだが、1時間近く間があるので、雫石へ寄り道する。田沢湖線に乗るのは6年ぶりだ。あのときは特急たざわのデッキに乗っていた。
小岩井は古いがデザイン性を感じる駅舎だ。「瀟洒」という言葉ががぴったりだ。
雫石は高原の静かな駅。だが、橋上駅だ。きれいだががらんとした感じは否めない。
こまちで盛岡へ戻り、はつかりに乗車。喫煙にのってしまい、けむい。車輌もヘボい。
盛岡で感じたのだが、新幹線駅はどこも新→在への乗り換え案内が貧弱だ。
三沢で下車、十和田観光電鉄へ乗り換える。
十鉄三沢は古き良き時代の民鉄ターミナルの風情だ。アンティークなそば屋が健在。
入線している電車はS30製、44年も走っている強者だ。
古牧の温泉街をかすめる。300円で元湯に入れるようだ。
温泉街を抜けると農村地帯をひた走る。学校名の駅が多いのは、地方私鉄はやむをえないか。
七百に、この鉄道の規模には似合わない巨大なELが停まっている。
十和田市はホームセンター併設の味気ない駅。ずいぶん先まで線路が延びているのはなぜだろう?
そのまま引き返し、再びはつかりに乗る。5分遅れらしいが、ホーム上に何の案内も放送されない。これではダメだ。客はイラつく。
居眠りしながら盛岡着。めかぶそばをかき込む。うまい。
上盛岡あたりまでバスがあると思っていたが、案内所ではないと言われてしまった。本当にないようだ。
山田線に乗車。大会だろうか、宮古高校排球部と書かれた学生が大ぜいのっている。
上米内まではけっこう区間利用があるが、そこから先はほとんど宮古まで通しの客になるようで、のりおりがほとんどない。
いくつかの駅はかつてSBがあった跡が残る。
区界の前に、殉職碑のようなものがある。山田線にも身を挺して鉄道を守った偉大な駅員の話がたしかあったが、詳細は忘れた。
区界は塩谷に似ている。まだストーブがあるのには驚きだ。
茂市で岩泉線に乗り換える。この時間、茂市駅には3列車が離合する。列車密度が極 端に低い山田(山線)・岩泉線では、珍しい光景だ。
地元の人でさらっと座席が理まる。思えばこの列車は岩泉線下り最終列車だ。まだ18:30だが。
岩手刈屋のあたりは大きなプラントもあり、開けている。
和井内で下車。ここ折返しの列車があるが、交換のできない停留場。岩泉線は一閉塞なのだ。
中里まで歩く。青臭い、薮の臭いがする。懐かしい。
日が暮れてきて、人家の見えない所を歩くのは少し怖い。
40分ほどで中里着。近くには民家もある。なぜ岩泉線は本数が極端に少ないのかわからない。
宮古行キハ52の灯りが見え、ホッとする。客は私一人、刈屋で2人乗り、けっきょく宮古までこれ以外の乗り降りはなかった。
宮古駅前はヤンキーが多い。
釜石行に乗り、ボーっとして過ごす。
釜石で、駅近くのBHへ転がり込む。

5/30
目が覚めたのは4:30、せっかく釜石まで来たので、橋上市場へ行ってみるがやっていない。ガッカリだ。
駅前バス停を見て、バス本数の多さに驚く。時間あたり3本はある。
釜石線列車で陸中大橋へ。かつて鉱石産出で賑わったであろう構内に、役目を終えたホッパーと2度と鉱石列車の通ることのないトンネルが見える。既に駅舎は取り壊されて無く、無骨な金属のアーチが駅の入口にあるだけだ。
目の前の山の中腹を、今おりたばかりの列車が通り過ぎる。ここは有名なオメガループの駅だ。
一駅進んで上有住。人家はほとんど見えないが、近くに有名な滝があるらしい。駅前から「八日町」という所へバスが出ている。意外だ。
松倉へ戻る。ここも意外なほどバスが多い。そんなに利用があるのだろうか。
急行陸中2号で新花巻へ。唯一のキハ100系急行、非常に快適だが車販がないのはいただけない。
新花巻は片面ホームの上に新幹線の高架があるという駅だが、数百メートル花巻寄りに交換設備の跡のような怪しいカーブがある。矢沢駅の跡だろう。
上り新幹線は徐々に混みはじめ、私が下車した古川では立ち客が出るほどだ。
古川は典型的な地方の中都市だ。駅ビルにバスターミナル、ファストフード。
始発の小牛田行に乗り、北浦で下車。このあたりのかつての中核なのか、古くて大きな建物がある。
陸前谷地まで歩く。朝、釜石ではかなり寒かったが、汗ばむ陽気だ。田んぼの匂いが懐かしい。
陸前谷地はホーム片面の簡素な駅だが、開設記念碑が建っている。こういった碑は全国的に多い。
小牛田へ行き、40分待ちで石巻線へ乗り継ぐ。小牛田も久しぶりだ。キハ23が4連で留置されている。全国的に数が減ってきたキハ45系だけに、レアな光景に映る。
涌谷で下車。開業以来と思われる木造駅舎だ。フラッと降りた駅としては久々のヒットだ。
一駅戻って上涌谷にも下車。ここにも開設記念碑があるが、現在利用している高校生には有り難みが解らないらしく、落書きが凄まじい。
座席に土足のまま上がる高校生、窓から紙屑を捨てる老人、やはり窓からガムを吐き捨てる運転手・・・日本はモラルレス国家に成り下がった。
石巻で仙石線に乗り換える。
石巻は古風だが手入れの行き届いた感のあるいい駅舎だ。木造の温かみを感じる。
このまま行くと仙台で30分あるのでどこかに降りようと思ったが、とても空腹なので仙台でメシを食うことにした。
仙台は、余命僅かとなった社線時代の駅が私を迎えてくれた。十鉄三沢に雰囲気が似ているが、売店は閉鎖され、高校生の溜まり場と化している。
仙台ではめかぶそばを2杯食べる。このあたりではめかぶを細かく刻むようで、これもまたうまい。
新幹線に乗る。東京までグリーン車を取ってある。E2系だ。ラッキー。
JREの株主優待券のおかげで安くグリーンに乗れる。新幹線のグリーンは初めてだ。
隣の席の女性は、JTBのツアコンで、一生懸命何かを計算している。
2時間はあっという間で、定刻に東京着。隣のツアコンの女性が、眠りこけている辺りの客を起こしている。
ここからはいつもの新橋経由コース。コージーコーナーのシュークリームを買って帰ろ。


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〜=516前沢三日町・・前沢609-<1521M>-水沢=<Taxi>=水沢江刺706-<32B LEs:やまびこ32>-728くりこま高原731=<栗夢号シャトル>=745沢辺748-<3>-細倉マインパーク前826-<6>-911石越919-<525M>-940一ノ関946-<33B LEs:やまびこ33>-1029盛岡1038-<829M>-1054雫石1103-<3010M LE:こまち10>-1117盛岡1122-<1007M LE:はつかり7>-1248三沢1309-<17>-1336十和田市1346-<22>-1413三沢1425-<1018M はつかり18>-1553盛岡1624-<658D>-1818茂市1835-<687D>-1849岩手和井内・・中里2013-<688D>-2047宮古2059-<660D>-2216釜石

5/30
釜石532-<1620D>-554陸中大橋645-<622D>-655上有住707-<1627D>-728松倉749-<602D E:陸中2>-908新花巻924-<6038B LEs:やまびこ38>-1019古川1042-<5724D>-1047北浦・・陸前谷地1118-<>-1127小牛田1204-<2941D>-1212涌谷1237-<1634D>-1241上涌谷1258-<1637D>-石巻1402-<3422S R:うみかぜ24>-1457仙台1525-<3016B LEs:やまびこ16>-1716東京1723-<山手外>-1727新橋1729-<浅草>-1747西馬込